読書習慣の形成が求められる学校等の方策(第四次基本計画)
小中学生の不読率は中長期的には改善傾向にありますが,高校生の不読率は依然として高い状況です。読書活動推進のための第四次の計画では,学校等はどのような取組をするのでしょうか。
計画改正の主なポイント
① 読書習慣の形成に向けて,発達段階ごとの効果的な取組を推進
② 友人同士で本を薦め合うなど,読書への関心を高める取組を充実
③ 情報環境の変化が子供の読書環境に与える影響に関する実態把握・分析

計画では,上記を踏まえ,子供の読書活動の推進体制等(市町村・都道府県・国の役割)をつくり,子供の読書活動の推進方策(家庭・地域・学校等における取組,子供の読書への関心を高める取組,民間団体の活動に対する支援,普及啓発活動)の取組を行います。
学校等では,以下に取り組みます。
【幼稚園・保育所等】
〇 幼稚園教育要領・保育所保育指針等に基づき,絵本や物語に親しむ活動の充実と環境の整備
【小学校,中学校,高等学校等】
〇 学習指導要領を踏まえた読書活動の推進
〇 読書習慣の形成,読書の機会の確保
〇 学校図書館の整備・充実

概要

下のグラフは,1ヶ月1冊も本を読まなかった人の割合「不読率」の推移です。

不読率の推移(%)

不読率

第63回学校読書調査(公益社団法人全国学校図書館協議会・株式会社毎日新聞社)

不読率については,小学生,中学生は中長期的に改善傾向にありますが ,高校生は依然として高い状況にあります。

次のグラフは,青少年のスマートフォンの利用率・利用時間の推移です。

sumaho2

スマートフォンの普及等による子供の読書環境への影響の可能性があります。

児童生徒のスマートフォンの利用率は,年々増加しています。また,SNS等コミュニケーションツールの多様化も近年の特徴です。

これらのことなどを受け,平成30年4月20日(金曜日)「第四次子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」が閣議決定されました。

この計画では,特に高校生の「不読率」の改善に向けて,読書習慣の形成に向けた,発達段階ごとの効果的な取り組みの推進,友人同士で本を薦め合うなど,読書への関心を高める取り組みの充実,情報環境の変化が子供の読書環境に与える影響に関する実態把握・分析等を行います。

以下は,「第四次子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」の推進のための「学校等における取組」を中心とした方策の概要です。その中には,子供の読書への関心を高める取組の例なども示されています。

1 第四次基本計画推進のための方策

第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」推進のための主な方策として

  • 子供の読書活動の推進体制等(市町村・都道府県・国の役割)
  • 子供の読書活動の推進方策(家庭・地域・学校等における取組,子供の読書への関心を高める取組,民間団体の活動に対する支援,普及啓発活動)

が計画されています。ここでは,学校等における取組を中心に取り上げます。

ポイント:

① 発達段階に応じた取組により,読書習慣を形成

② 友人同士で行う活動等を通じ,読書への関心を高める

2 発達段階に応じた取組

読書を行っていない高校生には読書習慣が形成されていない傾向も見られることから,乳幼児期から発達段階に応じた読書活動が行われることが重要です。

このためには,読書に関する発達段階ごとの特徴として以下の傾向があるとの指摘を踏まえつつ,子供の発達や読書経験に留意し,家庭,地域,学校において取組が進められることが重要です。

(1)幼稚園,保育所等の時期

おおむね6歳頃までの時期は,以下の傾向があります。

乳幼児期には,周りの大人から言葉を掛けてもらったり乳幼児なりの言葉を聞いてもらったりしながら言葉を次第に獲得するとともに,絵本や物語を読んでもらうこと等を通じて絵本や物語に興味を示すようになります。

さらに様々な体験を通じてイメージや言葉を豊かにしながら,絵本や物語の世界を楽しむようになります。

(2)小学生の時期

おおむね6歳から12歳までの時期は,以下の傾向があります。

① 低学年

本の読み聞かせを聞くだけでなく,一人で本を読もうとするようになり,語彙の量が増え,文字で表された場面や情景をイメージするようになります。

② 中学年

最後まで本を読み通すことができる子供とそうでない子供の違いが現れ始めます。

読み通すことができる子供は,自分の考え方と比較して読むことができるようになるとともに,読む速度が上がり,多くの本を読むようになります。

③ 高学年

本の選択ができ始め,その良さを味わうことができるようになり,好みの本の傾向が現れるとともに読書の幅が広がり始める一方で,この段階で発達がとどまったり,読書の幅が広がらなくなったりする者が出てくる場合があります。

(3)中学生の時期

おおむね12歳から15歳までの時期は,以下の傾向があります。

多読の傾向は減少し,共感したり感動したりできる本を選んで読むようになります。

自己の将来について考え始めるようになり,読書を将来に役立てようとするようになります。

(4)高校生の時期

おおむね15歳から18歳までの時期は,以下の傾向があります。

読書の目的,資料の種類に応じて,適切に読むことができる水準に達し,知的興味に応じ,一層幅広く,多様な読書ができるようになります。

3 家庭における取組

〇 家庭での読書の習慣付けの重要性の理解促進

〇 家庭での読書活動への支援(次のような活動の推進)

・読み聞かせ体験とともに乳幼児と保護者に絵本を手渡すブックスタート

・子供を中心に家族で同じ本を読み,絆(きずな)の一層の深まりを目指す家読(うちどく) 等

4 学校等における取組

(1)幼稚園・保育所等

〇 幼稚園教育要領・保育所保育指針等に基づき,絵本や物語に親しむ活動の充実と環境の整備

(2)小学校,中学校,高等学校等

〇 学習指導要領を踏まえた読書活動の推進

・ 児童生徒の主体的,意欲的な読書活動の充実(学校図書館の計画的な利活用)
・ 障害のある子供の読書活動の促進

〇 読書習慣の形成,読書の機会の確保

・ 全校一斉の読書活動,卒業までの読書目標の設定,子供による図書紹介 等

〇 学校図書館の整備・充実

・ 学校図書館図書整備等5か年計画の推進
・ 学校図書館図書標準の達成
・ 情報化の推進
・ 司書教諭
・ 学校司書等の人的配置促進

(3)小学校,中学校,高等学校等における読書指導

小学校,中学校,高等学校等の各学校段階において,子供が生涯にわたる読書習慣を身に付け,読書の幅を広げるため,読書の機会の拡充や図書の紹介,読書経験の共有により,様々な図書に触れる機会を確保することが重要です。

具体的には,以下の活動が挙げられます。

  • 全校一斉の読書活動
  • 推薦図書コーナーの設置
  • 卒業までに一定量の読書を推奨するなどの目標設定
  • 子供が相互に図書を紹介し,様々な分野の図書に触れる活動,読書会,ペア読書,お話(ストーリーテリング),ブックトーク,アニマシオン,書評合戦(ビブリオバトル)等の子供同士で行う活動

5 子供の読書への関心を高める取組

〇 友人同士で本を薦め合うなど,読書への関心を高める取組 → 読書会,図書委員,「子ども司書」,ブックトーク,書評合戦(ビブリオバトル) 等

① 読書会

数人で集まり,本の感想を話し合う活動である。その場で同じ本を読む,事前に読んでくる,一冊の本を順番に読む等,様々な方法がある。この取組により,本の新たな魅力に気付き,より深い読書につなげることができる。

② ペア読書

二人で読書を行うものであり,家族や他の学年,クラス等様々な単位で一冊の本を読み,感想や意見を交わす活動である。この取組により読む力に差がある場合も相手を意識し,本を共有することにつなげることができる。

③ お話(ストーリーテリング)

語り手が昔話や創作された物語を全て覚えて自分の言葉で語り聞かせ,聞き手がそれを聞いて想像を膨らませる活動である。直接物語を聞くことで,語り手と聞き手が一体になって楽しむことができる。

④ ブックトーク

相手に本への興味が湧くような工夫を凝らしながら,あるテーマに沿って関連付けて,複数の本を紹介すること。テーマから様々なジャンルの本に触れることができる。

⑤ アニマシオン

読書へのアニマシオンとは,子供たちの参加により行われる読書指導のことであり,読書の楽しさを伝え自主的に読む力を引き出すために行われる。ゲームや著者訪問等,様々な形がある。

⑥ 書評合戦(ビブリオバトル)

発表者が読んで面白いと思った本を一人5分程度で紹介し,その発表に関する意見交換を2~3分程度行う。全ての発表が終了した後に,どの本が一番読みたくなったかを参加者の多数決で選ぶ活動である。ゲーム感覚で楽しみながら本に関心を持つことができる。

⑦ 図書委員,「子ども司書」,「読書コンシェルジュ」等の活動

子供が図書館や読書活動について学び,お薦め本を選定して紹介したり,同世代の子供を対象とした読書を広める企画を実施したりする活動である。自ら読書に関する理解を深めるとともに,読書活動の推進役となり,同世代の子供の読書のきっかけを作り出すものである。

⑧ 子供同士の意見交換を通じて,一冊の本を「○○賞」として選ぶ取組

参加者が複数の同じ本を読み,評価の基準も含めて議論を行った上で,一冊のお薦め本を決める活動である。複数の本を読み込み,共通の本について自身の考えで話し合うことで,自分と異なる視点を知り,自身の幅を広げることにつながるものである。

6 普及啓発活動

〇 「子ども読書の日」(4月23日)

〇 「文字・活字文化の日」(10月27日)

〇 優れた取組の奨励(地方自治体・学校・ 図書館・民間団体・個人を表彰 等)

※ 本文及び要点:文部科学省「第四次『子供の読書活動の推進に関する基本的な計画』及び概要」平成30年4月[ONLINE]http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/04/__icsFiles/afieldfile/2018/04/20/1403863_002_1.pdf(参照2018.4.24)を加工して作成

※ グラフ:文部科学省「第四次『子供の読書活動の推進に関する基本的な計画』(関係資料)」平成30年4月[ONLINE]http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/04/__icsFiles/afieldfile/2018/04/20/1403863_003_3.pdf(参照2018.4.24)を加工して作成

小中学生は改善傾向,高校生は依然高い「不読率」