Society50
これから迎える新しい社会「Society 5.0」とは,どのような社会なのでしょうか。
Society 5.0 は,ICTを最大限に活用し,サイバー空間とフィジカル空間(現実世界)とを融合させた取組により,人々に豊かさをもたらす「超スマート社会」です。

その社会は,「必要なもの・サービスを,必要な人に,必要な時に,必要なだけ提供し,社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき,あらゆる人が質の高いサービスを受けられ,年齢,性別,地域,言語といった様々な違いを乗り越え,活き活きと快適に暮らすことのできる社会」です。

1 林大臣が,記者会見で触れた「Society5.0」

平成30年3月30日,林芳正文部科学大臣の記者会見がありました。

内容の一つは,新しい高等学校学習指導要領を公示と,学校教育法施行規則の一部改正省令の公布です。

「今回の改訂では,教科・科目の構成の改善や主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善をとおして,高等学校段階で求められる資質・能力の着実な育成を目指してまいります。」との内容です。

高等学校においても,教科・科目の構成の改善や主体的・対話的で深い学びの実現が説明されました。

さて,その時の社会背景の説明の際に,「Society5.0」という筆者には耳慣れない言葉が使われました。

「近年,情報化やグローバル化が加速度的に進み,またSociety5.0とも言われる新たな時代を迎える中で,今回の改訂では,…」

「Society5.0」とは何だろう。

2 Society 5.0では,こんなことができる

Society 5.0のイメージがよく分かるのは,下記の動画等の情報です。

政府広報「これを見れば,未来がもっと楽しみになる!WEB限定ムービー

https://www.gov-online.go.jp/cam/s5/#specialmovieModal

「近い将来は,こうなるのか」という楽しみな内容です。

その動画ムービーは,こんな場面から始まります。

スマホに,連絡が届きます。

「10分後に荷物が届きます。」

それは,ドローンからの連絡でした。

やがてドローン(空飛ぶマシン)が飛んできて,本人に荷物を渡します。

「モノの運搬,測量,災害救助まで,世界中で実用化が進みつつあるドローン。野を越え,山を越え,みんなの想いや希望を乗せてやがてアナタの住む町にも。」

というキャッチフレーズです。

A I 家電の冷蔵庫も登場します。

「朝ごはん,何にしようかな。」と主人公(女子高生)。

「ほうれん草とりんごで,スムージーはいかかですか。」と冷蔵庫がレシピを提案します。

ついでに,なくなりかけた牛乳の注文をするか,本人に尋ねます。

考えるA I 家電が,日々の暮らしを快適にします。

「人工知能「AI」を搭載した家電が,日本だけでなく世界中で開発・販売されています。家電同士がつながることで“便利”が加速していく——アナタの暮らしを,AIがサポートします。」

医療・介護は,これからの時代の重要課題の一つです。

センサーが高齢者の体温や血圧を測ります。体調を管理し,診察も提案してくれます。

高齢者は,自宅に居ながらテレビ電話で医師の診察を受けられます。

通院時間や待ち時間の無い,遠隔診療の受診です。

「高齢化が進むにつれて,ますます大きな課題となる医療・介護問題。ロボットをはじめとした先端テクノロジーが,解決の糸口を見出だしてくれました。」

農地に沿った道を走っていると,無人のトラクターが自動で畑を耕しています。

人の運転席のない大きなトラクターが,車輪をゆっくりと回し,土を掘り起こしながら整然と苗植えの準備をしています。

GPS衛星「みちびき」により,cm単位の精度でトラクターは操作ができます。

「天候に左右されたり,危険だったり。働く人にとって厳しい仕事環境でも,淡々と仕事をこなしてくれるクールで頼もしい相棒がいるんです。」

朝,自宅を出る前。

「コロッケパンとミックスサンド,いつものお店でお願い。」と主人公が言うと,

「注文しておきます。」とAIスピーカー。

登校途中に店に寄ると,自宅のAIスピーカーで注文していた食べ物が,店で既に袋詰めで準備されています。

スマホで決済。チャリン。

「ここ最近で急速に普及したクラウドは,利用者と企業,どちらにとっても嬉しいサービス。設備投資にかかる費用が少なく,中小企業や個人商店でも手軽に導入できます。」

通学には,自動走行の無人走行バスが登場です。

窓の広い無人のバスが,ゆっくり近づいて来ます。

そこに先輩の男子高校生も同じバスを待っていす。

どうも,憧れの人と居合わせたようなシチュエーションで,ほのぼのとします。

自動運転の無人バスは,高齢者の買い物や遠距離通学のサポートをしてくれます。

「映画やマンガでもたくさん描かれてきた無人走行は,まさしく未来を象徴するテクノロジー。まずは公共交通機関や運送業から,そして一般家庭へと拡がっていくでしょう。」

なんと楽しみな社会でしょう。

Society 5.0で実現する社会

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※ 「Society 5.0「科学技術イノベーションが拓く新たな社会」説明資料」平成28年1月22日閣議決定内閣府[ONLINE]http://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/society5_0-1.pdf(参照2018.4.17)






3 Society 5.0とは,人間中心の超スマート社会

Society 5.0とは
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより,経済発展と社会的課題の解決を両立する,人間中心の社会(Society)

狩猟社会(Society 1.0),農耕社会(Society 2.0),工業社会(Society 3.0),情報社会(Society 4.0)に続く,新たな社会を指します。

※ 内閣府 Society 5.0 http://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html(参照:2018.4.10)

これまでの第4次産業革命を巡る世界的な動きとしては,ICTが発展し,ネットワーク化やIoTの利活用が進む中,世界では,

  • ドイツの「インダストリー4.0 Industrie 4.0」(2010),
  • 米国の「先進製造パートナーシップ Advanced Manufacturing Partnership 2.0」(2011),
  • 中国の「中国製造 2025 Made in China 2025」(2014)等,

ものづくり分野でICTを最大限に活用し,第4次産業革命とも言うべき変化を先導していく取組が,官民協力の下で打ち出され始めました。

2016年1月にスイス・ダボスで開催された第46回世界経済フォーラム(World Economic Forum:以降WEF)の年次総会(通称「ダボス会議」)の主要テーマとして「第4次産業革命の理解(Mastering the Fourth Industrial Revolution)」が取り上げられ,その定義をはじめ議論が行われました。

そして翌年2017年1月のダボス会議においても,第4次産業革命の議論が行われ,人工知能(AI)やロボット技術などを軸とする「第4次産業革命」をどう進めるか等が議論になりました。

こうした中,Society 5.0は,平成28年1月22日閣議決定された第5期科学技術基本計画において,我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

「Society(ソサエティ)5.0」は,「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く,人類史上5番目の新しい社会です。第4次産業革命によって,新しい価値やサービスが次々と創出され,人々に豊かさをもたらしていきます。

第5期科学技術基本計画によれば,「Society 5.0」 は,ICTを最大限に活用し,サイバー空間とフィジカル空間(現実世界)とを融合させた取組により,人々に豊かさをもたらす「超スマート社会」 です。

超スマート社会とは,

「必要なもの・サービスを,必要な人に,必要な時に,必要なだけ提供し,社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき,あらゆる人が質の高いサービスを受けられ,年齢,性別,地域,言語といった様々な違いを乗り越え,活き活きと快適に暮らすことのできる社会」である。

※ 参照:総務省「平成29年版情報通信白書 第3章第4次産業革命がもたらす変革 第1節第4次産業革命がもたらす世界的な潮流」[ONLINE]http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/pdf/n3100000.pdf(参照2018.4.16)

※ 「第5期科学技術基本計画第2章未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組(2)世界に先駆けた「超スマート社会」の実現(Society 5.0)」閣議決定 平成28年1月22日[ONLINE]http://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/5honbun.pdf(参照:2018.4.16)

サイバー空間とフィジカル空間の高度な融合

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※ 「Society 5.0「科学技術イノベーションが拓く新たな社会」説明資料」平成28年1月22日閣議決定内閣府[ONLINE]http://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/society5_0-1.pdf(参照2018.4.17)

4  Society 5.0に向け,子供たちに生きる力を

林芳正文部科学大臣は,平成30年3月30日(金曜日)に行われた定例記者会見で新しい高等学校学習指導要領を公示等に当たり,

「近年,情報化やグローバル化が加速度的に進み,またSociety5.0とも言われる新たな時代を迎える中で,今回の改訂では,教科・科目の構成の改善や主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善をとおして,高等学校段階で求められる資質・能力の着実な育成を目指してまいります。」

と新学習指導要領の方針を示しました。

現在及び今後の子供たちが,成人して社会で活躍する頃には,我が国は厳しい挑戦の時代を迎えると予想されます。生産年齢人口の減少,グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により,社会構造や雇用環境は大きく,また急速に変化しており,予測が困難な時代となっています。

また,急激な少子高齢化が進む中で,我が国は成熟社会を迎えます。一人一人が持続可能な社会の担い手として,その多様性を原動力とし,質的な豊かさを伴った個人と社会の成長につながる新たな価値を生み出していくことが期待されています。

こうした変化の一つとして,人工知能(AI)の飛躍的な進化を挙げられます。

人工知能が自ら知識を概念的に理解し,思考し始めているとも言われます。雇用の在り方や学校で獲得する知識の意味にも大きな変化をもたらすとの予測もあります。

このことは同時に,人工知能がどれだけ進化し思考できたとしても,その思考の目的を与えたり,目的のよさ・正しさ・美しさを判断したりできるのは人間の最も大きな強みであるとの再認識につながっています。

このような時代にあって,子供たちが様々な変化に積極的に向き合い,他者と協働して課題を解決していくことや,様々な情報を見極め知識の概念的な理解を実現し情報を再構成するなどして新たな価値につなげていくこと,複雑な状況変化の中で目的を再構築することができるようにすることが求められています。

Society 5.0といった社会に向けて,子供もたちが出会う諸課題に対して遺憾なく力を発揮し解決できる力を身に付けられるようにするのは,学校の大きな役割です。

※ 文部科学省「林芳正文部科学大臣平成30年3月30日記者会見テキスト版」[ONLINE]http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1403225.htm(2018.4.16)

※ 参照:文部科学省「小学校学習指導要領解説算数編平成29年6月第1章総説 1改訂の経緯及び基本方針(1)改訂の経緯」[ONLINE]http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/07/25/1387017_4_1_1.pdf(参照2018.4.16)

資料

第4次産業革命

第1次産業革命:18世紀後半,蒸気・石炭を動力源とする軽工業中心の経済発展および社会構造の変革。イギリスで蒸気機関が発明され,工場制機械工業が幕開けとなった

第2次産業革命:19世紀後半,電気・石油を新たな動力源とする重工業中心の経済発展および社会構造の変革。エジソンが電球などを発明したことや物流網の発展などが相まって,大量生産,大量輸送,大量消費の時代が到来。フォードのT型自動車は,第2次産業革命を代表する製品の1つといわれる

第3次産業革命:20世紀後半,コンピューターなどの電子技術やロボット技術を活用したマイクロエレクトロニクス革命により,自動化が促進された。日本メーカーのエレクトロニクス製品や自動車産業の発展などが象徴的である

第4次産業革命:2010年代現在,デジタル技術の進展と,あらゆるモノがインターネットにつながるIoTの発展により,限界費用や取引費用の低減が進み,新たな経済発展や社会構造の変革を誘発すると議論される

※ 「第4次産業革命における産業構造分析とIoT・AI等の進展に係る現状及び課題に関する調査研究報告書」2017年3月株式会社三菱総合研究所[ONLINE]http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h29_03_houkoku.pdf#search=%27第+4+次産業革命における産業構造分析と+IoT・AI+等の進展に係る現状及び課題に関する調査研究%27(参照2018.4.16)

科学技術基本計画

科学技術基本計画とは

「平成7年に制定された「科学技術基本法」により,政府は「科学技術基本計画」(以下基本計画という。)を策定し,長期的視野に立って体系的かつ一貫した科学技術政策を実行することとなりました。これまで,第1期(平成8~12年度),第2期(平成13~17年度),第3期(平成18~22年度),第4期(平成23~27年度)の基本計画を策定し,これらに沿って科学技術政策を推進してきています。そして,平成28年1月22日,平成28~32年度の第5期基本計画が閣議決定されました。総合科学技術・イノベーション会議は,この基本計画の策定と実行に責任を有しています。」

※ 「科学技術基本計画」平成28年1月22日閣議決定内閣府[ONLINE]http://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/index5.html(参照2018.4.16)