正方形に内接する正三角形を紙を折って作る
正方形の折り紙を使って,正方形に内接する正三角形を作るには,どのようにするとよいのでしょう。
正方形の紙を折って,正三角形を作ることができます。
作り方
正方形各辺の垂直二等分線を折る。
正方形の特定の頂点を中心,その両隣の辺を半径として,垂直二等分線上に交点をとるようそれぞれ折り目を入れる。
それらの二つの折り目が,内接する正三角形の二辺。またその端点が,正三角形の三つの頂点となる。
証明
正方形各辺の垂直二等分線の性質,正方形の一辺を底辺とする正三角形の性質,折り返した三角形と元の三角形の計4つの合同な三角形の性質を使って説明できる。







1 作り方

(1)正方形の準備

まず,折り紙をなど正方形の紙を用意します。
長方形の場合は,短辺の一つの頂点を中心に,長辺に長さを移して,折り目を付けます。余った部分を取り除いて,開くと正方形ができます。折り方-0

(2)縦横に垂直二等分線を入れる

折り紙を,縦横に垂直に2等分します。
□ABCDのADをBCに重なるよう折り,折り目を付けて開きます。
同様に,ABをDCに重なるように折り,折り目を付けて開きます。
これらの折り目は各辺の垂直二等分線です。折り方1

(3)正三角形の二つの辺を作る

左図のように,Aを中心として半径ABの円を描くようにABの長さを移し,HFとの交点B’をとります。その位置で折り目を入れます。
右図でも同様に,Aを中心として半径ADの円を描くようにADの長さを移し,EGとの交点D’をとります。その位置で折り目を入れます。折り方2

(4)三つ目の一辺を作る

PQを軸として,頂点Cを内側に折り返します。
そのとき,点B’と点D’の小さい三角形の部分も折れ曲がりますが,その部分に注意を払わなくて良いです。
注意すべきは,対称の軸PQが正確に一直線となるよう折り返すことです。折り方3
三角形APQが正三角形です。
この正三角形は,正方形に内接する正三角形の中で,最大面積の正三角形です。

2 正三角形の証明

(1)折り返した三角形は合同

折り返した部分について,折り返した三角形と元の三角形は合同です。
したがって頂点Aを頂点にもつ4つの合同な三角形があることになります。
なお,\(□ABCD\) の一辺の長さは,\(AB=BC=CD=DA=1\) とします。
証明1\(△ABP\) と \(△AB’P\) ついては,Aを中心として半径ABの円を描くようにABの長さを移し,HFとの交点をB’としています。
その位置で折り目APを入れています。
\(△ADQ\) と \(△AD’Q\) についても同様です。
EGとの交点をD’とし,その位置で折り目AQを入れています。

\(△ABP\) と \(△AB’P\) において
\(AB=AB’,BP=B’P,∠ABP=∠AB’P=∠R\) より,二辺挟角が等しいので
\(△ABP\equiv △AB’P\)

同様に,\(△ADQ\) と \(△AD’Q\) において
\(AD=AD’,DQ=D’Q,∠ADQ=∠AD’Q=∠R\) より,二辺挟角が等しいので
\(△ADQ\equiv △AD’Q\)

したがって,正方形の定義から\(AB=AD\) であることから,\[△ABP\equiv △AB’P\equiv △ADQ\equiv △AD’Q\]
頂点Aで頂点を共有する4つの三角形は,すべて合同です。

(2)正方形の一辺を底辺とする正三角形

\(△AB’D\) において
\(△ABP\equiv △AB’P\) なので,\(AB=AB’\) 頂点B’はADの垂直二等分線FH上にあります。
\(△AHB’\) と \(△DHB’\) において
\(AH=DH,∠AHB’=∠DHB’=∠R,B’H\)共通 より,二辺挟角が等しいので
\(△AHB’\equiv △DHB’\)
よって,\(AB’=DB’\)
一方,\(□ABCD\)は正方形なので\(AB=AD=AB’\)
したがって,\(AD=AB’=B’D\)
3辺が等しいので,\(△AB’D\) は,正三角形といえます。
このことから,\(∠B’AD=60°\)
\[\begin{equation}\begin{split}∠PAB&=∠R-(∠B’AD+∠PAB’)\\&=90°-(60°+∠PAB’)\\&=30°-∠PAB\\2∠PAB&=30°\\∠PAB&=15°\end{split}\end{equation}\]証明3
\(△ABP\equiv △ADQ\) から\[∠PAB=∠QAD=15°\]
証明2
したがって,\[\begin{equation}\begin{split}∠PAQ&=∠R-(∠PAB+∠QAD)\\&=90°-15°\times 2\end{split}\end{equation}\]\[∠PAQ=60°\tag{1}\]
証明4\(△ABP\equiv △ADQ\) から\[AP=AQ\tag{2}\]
(1),(2)より,\(△APQ\) は,頂点Aの内角を60°とする二等辺三角形です。
二等辺三角形の両底角は等しいので,
\[\begin{equation}\begin{split}∠APQ&=∠AQP\\&=(180°-60°)\div 2\\&=60°\end{split}\end{equation}\]
\[∠PAQ=∠APQ=∠AQP=60°\]
すなわち,\(△APQ\) は,正三角形であるといえます。

3 まとめ

正方形の紙を折って,正三角形を作ることができます。

○ 正三角形の作り方
正方形各辺の垂直二等分線を折ります。
正方形の特定の頂点を中心,その両隣の辺を半径として,垂直二等分線上に交点をとるようそれぞれ折り目を入れます。
それらの二つの折り目が,内接する正三角形の二辺です。またその端点が,正三角形の三つの頂点となります。

○ 正三角形である証明
その証明は,正方形各辺の垂直二等分線の性質,正方形の一辺を底辺とする正三角形の性質,折り返した三角形と元の三角形の計4つの合同な三角形の性質を使って説明できます。