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平成29年告示の中学校学習指導要領理科の目標は,どのようなものでしょうか。
中学校理科では,「自然の事物・現象に関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力」の育成を目指します。

中学校における「理科の見方・考え方」とは,「自然の事物・現象を,質的・量的な関係や時間的・空間的な関係などの科学的な視点で捉え,比較したり,関係付けたりするなどの科学的に探究する方法を用いて考えること」です。

科学的に探究する力を育成するに当たっては,

  1. 自然の事物・現象の中に問題を見いだし
  2. 見通しをもって観察,実験などを行い,
  3. 得られた結果を分析して解釈する

などの活動を行うことが重要です。

掲載の趣旨

平成29年告示の学習指導要領では,資質・能力や内容などの全体像を分かりやすく見渡せるよう,枠組みが大きく見直され「学びの地図」として整理されました。

その趣旨に添い,本稿では,解説本文を次のように編集しています。

  • 目標解説の内容が捉えやすいように原文を装飾
  • 他教科等・他学校種の目標や解説が比較しやすように編集

具体的には,本文は原文通りで,次のように編集しています。

  • 各教科等の目標の解説を共通した章立てで構成
  • 学校種間の対応する内容についてリンクで移動 など

掲載の趣旨の詳細は,下のボタンより参照できます。

「掲載の趣旨」の詳細

なお,本稿は,「文部科学省ウェブサイト利用規約」(2018年3月1日に利用)に基づいて,原本を加工し作成しています。


小学校・中学校各教科等の目標の解説 「小・中学校「教科等の目標解説を縦横に読む」シリーズ」は,下のボタンより閲覧できます。

小・中学校各教科等の目標解説






中学校 理科の目標

1 教科の目標

(1)目標

 自然の事物・現象に関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1)自然の事物・現象についての理解を深め,科学的に探究するために必要 な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。

(2)観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う。

(3)自然の事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養う。

※ 平成20年中学校学習指導要領「理科」目標
「自然の事物・現象に進んでかかわり,目的意識をもって観察,実験などを行い,科学的に探究する能力の基礎と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め,科学的な見方や考え方を養う。」
※ 平成10年中学校学習指導要領「理科」目標
「自然に対する関心を高め,目的意識をもって観察,実験などを行い,科学的に調べる能力と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め,科学的な見方や考え方を養う。」
※ 平成元年中学校学習指導要領「理科」目標
「自然に対する関心を高め,観察,実験などを行い,科学的に調べる能力と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め,科学的な見方や考え方を養う。」

(2)目標の構成

この目標は,中学校理科においてどのような資質・能力の育成を目指しているのかを簡潔に示したものである。

初めに,どのような学習の過程を通してねらいを達成するかを示し,

(1)では育成を目指す資質・能力のうち「知識及び技能」を,
(2)では「思考力,判断力,表現力等」を,
(3)では「学びに向かう力,人間性等」を

それぞれ示し,三つの柱に沿って明確化した。

なお,自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力については,相互に関連し合うものであり,目標(1)から(3)は育成する順を示したものではないことに留意することが必要である。

小学校理科「目標の構成」

2 柱書

(1)学び方1

【自然の事物・現象に関わり】

理科は,自然の事物・現象を学習の対象とする教科である。

自然の事物・現象に関わり」は,生徒が主体的に問題を見いだすために不可欠であり,学習意欲を喚起する点からも大切なことである。

小学校理科「学び方:自然に親しみ」

(2)見方・考え方

【理科の見方・考え方を働かせ】

理科の見方・考え方を働かせ」のうち,「見方・考え方」は学びの本質的な意義の中核をなすものであり,理科の学習においては,

  • この「見方・考え方」を働かせながら,知識及び技能を習得したり,思考,判断,表現したりしていくものであると同時に,
  • 学習を通じて,「理科の見方・考え方」が豊かで確かなものとなっていくと考えられる。

※ 理科の見方・考え方
理科における「見方」
「エネルギー」:自然の事物・現象を主として量的・関係的な視点で,「粒子」自然の事物・現象を主として質的・実体的な視点で,「生命」生命に関する自然の事物・現象を主として共通性・多様性の視点で,「地球」地球や宇宙に関する自然の事物・現象を主として時間的・空間的な視点で捉えることが各領域の特徴的な視点である。
理科における「考え方」
探究の過程を通した学習活動の中で,例えば,比較したり,関係付けたりするなどの科学的に探究する方法を用いて考えることである。
以上を踏まえ,中学校における「理科の見方・考え方」については,「自然の事物・現象を,質的・量的な関係や時間的・空間的な関係などの科学的な視点で捉え,比較したり,関係付けたりするなどの科学的に探究する方法を用いて考えること」と整理できる。

理科の各領域における特徴的な見方の整理例

小学校理科「見方・考え方」

(3)学び方2

【見通しをもって観察,実験を行うこと】

見通しをもって観察,実験を行うこと」は,

  • 観察,実験を行う際,生徒に観察,実験を何のために行うか
  • 観察,実験ではどのような結果が予想されるかを考えさせること

などであり,観察,実験を進める上で大切である。

さらに,広く理科の学習全般においても,生徒が見通しをもって学習を進め,学習の結果,何が獲得され,何が分かるようになったかをはっきりさせ,一連の学習を自分のものとすることができるようにすることが重要である。

このようなことから,「見通しをもって」ということを強調している。従前の「目的意識をもって」に比べ,より幅広く様々な場面で活用することを想定した表現となっている。

小学校理科「学び方:見通しをもって観察,実験を行う」

3 三つの柱

(1)知識及び技能

(1)自然の事物・現象についての理解を深め,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。

目標(1)は,育成を目指す資質・能力のうち,知識及び技能を示したものである。

知識及び技能を育成するに当たっては,自然の事物・現象についての観察,実験などを行うことを通して,自然の事物・現象に対する概念や原理・法則の理解を図るとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けることが重要である。

その際,日常生活や社会との関わりの中で,科学を学ぶ楽しさや有用性を実感しながら,生徒が自らの力で知識を獲得し,理解を深めて体系化していくようにすることが大切である。また,観察,実験などに関する基本的な技能については,探究の過程を通して身に付けるようにすることが大切である。

(2)思考力,判断力,表現力等

(2)観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う。

目標(2)は,育成を目指す資質・能力のうち,思考力,判断力,表現力等を示したものである。

科学的に探究する力を育成するに当たっては,

  1. 自然の事物・現象の中に問題を見いだし
  2. 見通しをもって観察,実験などを行い,
  3. 得られた結果を分析して解釈する

などの活動を行うことが重要である。

その際,

  1. 第1学年では自然の事物・現象に進んで関わり,それらの中から問題を見いだす活動
  2. 第2学年では解決する方法を立案し,その結果を分析して解釈する活動
  3. 第3学年では探究の過程を振り返る活動などに重点を置き,

3年間を通じて科学的に探究する力の育成を図るようにする。

(3) 学びに向かう力,人間性等

(3)自然の事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養う。

目標(3)は,育成を目指す資質・能力のうち,学びに向かう力,人間性等を示したものである。

学びに向かう力,人間性等を育成するに当たっては,生徒の学習意欲を喚起し,生徒が自然の事物・現象に進んで関わり,主体的に探究しようとする態度を育てることが重要である。

その際,自然体験の大切さや日常生活や社会における科学の有用性を実感できるような場面を設定することが大切である。
このような主体的に探究する活動を通して自然の美しさ,精妙さ,偉大さを改めて感得し,自然についての理解を深め,新たな問題を見いだそうとするなど,生徒の感性や知的好奇心などが育まれる

また,自然環境の保全や科学技術の利用に関する問題などでは,人間が自然と調和しながら持続可能な社会をつくっていくため,身の回りの事象から地球規模の環境までを視野に入れて,科学的な根拠に基づいて賢明な意思決定ができるような態度を身に付ける必要がある。

第1分野

1 目標

 物質やエネルギーに関する事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1)物質やエネルギーに関する事物・現象についての観察,実験などを行い,身近な物理現象,電流とその利用,運動とエネルギー,身の回りの物質,化学変化と原子・分子,化学変化とイオンなどについて理解するとともに,科学技術の発展と人間生活との関わりについて認識を深めるようにする。また,それらを科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。

(2)物質やエネルギーに関する事物・現象に関わり,それらの中に問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し表現するなど,科学的に探究する活動を通して,規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養う。

(3)物質やエネルギーに関する事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。

※ 平成20年中学校学習指導要領「理科」〔第1分野〕目標
(1)物質やエネルギーに関する事物・現象に進んでかかわり,その中に問題を見いだし意欲的に探究する活動を通して,規則性を発見したり課題を解決したりする方法を習得させる。
(2)物理的な事物・現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,身近な物理現象,電流とその利用,運動とエネルギーなどについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(3)化学的な事物・現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,身の回りの物質,化学変化と原子・分子,化学変化とイオンなどについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(4)物質やエネルギーに関する事物・現象を調べる活動を行い,これらの活動を通して科学技術の発展と人間生活とのかかわりについて認識を深め,科学的に考える態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。

2 柱書

 物質やエネルギーに関する事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

第1分野の目標は,教科の目標を受けて示しているものであり,第1分野の特質に即して,ねらいをより具体的に述べている。

第1分野の目標(1)は,

教科の目標の「自然の事物・現象についての理解を深め,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする」を受けて,

物質やエネルギーに関する観察,実験などを行い,それらの事物・現象について理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるというねらいを示している。

目標(2)は,

教科の目標の「観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う」を受けて,

小学校で身に付けた問題を見いだす力や根拠のある予想や仮説を発想する力などを発展させ,物質やエネルギーに関する事物・現象について規則性を見いだしたり,課題を解決したりする方法を身に付け,思考力,判断力,表現力等を養うというねらいを示している。

目標(3)は,

教科の目標の「自然の事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養う」を受けて,

物質やエネルギーに関する事物・現象に進んで関わり,自然を科学的に探究する活動を行い,科学的に探究しようとする態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにするというねらいを示している。

3 三つの柱

(1)知識及び技能

(1)物質やエネルギーに関する事物・現象についての観察,実験などを行い,身近な物理現象,電流とその利用,運動とエネルギー,身の回りの物質,化学変化と原子・分子,化学変化とイオンなどについて理解するとともに, 学技術の発展と人間生活との関わりについて認識を深めるようにする。また,それらを科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。

この目標は,

  • 第1分野の学習の対象が,物質やエネルギーに関する事物・現象であることを示すとともに,
  • 物質やエネルギーに関する観察,実験などを行い,それらの事物・現象について理解するとともに,
  • 科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付ける

ことがねらいであることを示している。

ここでは,

  • 「身近な物理現象」,
  • 「電流とその利用」,
  • 「運動とエネルギー」,
  • 「身の回りの物質」,
  • 「化学変化と原子・分子」,
  • 「化学変化とイオン」など,

「エネ ルギー」や「粒子」についての科学の基本的な概念等を柱として内容を構成して いる。

「エネルギー」を柱とする領域では,

エネルギーに関する事物・現象についての観察,実験などを行うことを通して,それらの事物・現象に対する基本的な知識を身に付けるとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けることがねらいである。

ここでは,小学校での学習につなげて,力や運動,エネルギー,電流などの事物・現象に関して内容の系統性を重視し,科学的に探究する活動を通して,科学的な知識や基本的な概念が獲得されるようにしている。

「粒子」を柱とする領域では,

物質に関する事物・現象についての観察,実験などを行うことを通して,それらの事物・現象に対する基本的な知識を身に付けるとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けることがねらいである。

ここでは,小学校での学習につなげて,身の回りの物質,化学変化などの事物・現象に関して内容の系統性を重視し,目に見える物質の性質や反応を目に見えない原子,分子,イオンの概念を用いて統一的に考察させ,科学的に探究する活動を通して,科学的な知識や基本的な概念が獲得されるようにしている。

さらに,物質やエネルギーに関する事物・現象を調べる活動を行い,科学技術の発展が人間生活を豊かで便利にしていることや,エネルギー問題や環境問題などの様々な問題を解決するために科学技術が重要であることに気付かせ,科学技術の発展と人間生活とが密接に関わりをもっていることの認識を深めさせる。

なお,これらの学習に当たっては,規則性や原理などが日常生活や社会で活用されていることにも触れ,私たちの生活において極めて重要な役割を果たしていることに気付かせるようにすることが大切である。

(2)思考力,判断力,表現力等

(2)物質やエネルギーに関する事物・現象に関わり,それらの中に問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し表現するなど,科学的に探究する活動を通して,規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養う。

この目標は,

  • 物質やエネルギーに関する事物・現象に対して関わり,科学的に探究する活動を通して,
  • 規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養う

ことがねらいであることを示している。

第1分野の特徴は,観察,実験が比較的行いやすく,分析的な手法によって規則性を見いだしやすいことである。実際の指導に当たっては,生徒自身が問題を見いだし,自ら進んで探究する活動を行い,分析して解釈することを通して,規則性を見いだしたり,課題を解決したりするように方向付けることが大切である。

自然の事物・現象を科学的に探究する活動では,図1(9ページ)で示している学習過程の例などが考えられるが,これらは決して固定的なものではなく,問題の内容や性質,あるいは生徒の発達の段階に応じて,ある部分を重点的に扱ったり,適宜省略したりするといった工夫が必要である。その際,小学校で身に付けた問題を見いだす力や根拠のある予想や仮説を発想する力などを更に高めながら,観察,実験の結果を分析して解釈するなどの資質・能力の育成を図るようにする。

こうした第1分野の特徴も踏まえて,自然の事物・現象の規則性関係性を見いだすことなど,思考力,判断力,表現力等を育成することが重要である。その際,表やグラフの作成,モデルの活用,コンピュータなどICTの活用,レポートの作成や発表を行うことなどが大切である。

(3)学びに向かう力,人間性等

(3)物質やエネルギーに関する事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。

この目標は,

  • 物質やエネルギーに関する事物・現象について進んで関わり,観察,実験などを行い,科学的に探究しようとする態度を養うとともに,
  • 日常生活や社会との関わりについて認識して,自然を総合的に見ることができるようにする

ことがねらいであることを示している。

物質やエネルギーに関する事物・現象について,

  • 生徒が進んで関わり,それらの事物・現象に対する気付きから問題を見いだして解決しようとする態度や,
  • それらの事物・現象の理解が深まることによって新たな問題を見いだそうとする態度など,

科学的に探究しようとする態度を養うことが大切である。

その際,理科の学習で得た知識及び技能を活用して,物質やエネルギーに関する自然の事物・現象を総合的に見たり考えたりしようとする態度を身に付けさせることが重要である。

このような学習を通して,自然と人間が調和した持続可能な社会をつくっていくために科学的な根拠に基づいて意思決定ができるよう指導することが大切である。

第2分野

1 目標

 生命や地球に関する事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1)生命や地球に関する事物・現象についての観察,実験などを行い,生物の体のつくりと働き,生命の連続性,大地の成り立ちと変化,気象とその変化,地球と宇宙などについて理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。

(2)生命や地球に関する事物・現象に関わり,それらの中に問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し表現するなど,科学的に探究する活動を通して,多様性に気付くとともに規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養う。

(3)生命や地球に関する事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度と,生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。

※ 平成20年中学校学習指導要領「理科」〔第2分野〕目標
(1)生物とそれを取り巻く自然の事物・現象に進んでかかわり,その中に問題を見いだし意欲的に探究する活動を通して,多様性や規則性を発見したり課題を解決したりする方法を習得させる。
(2)生物や生物現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,生物の生活と種類,生命の連続性などについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(3)地学的な事物・現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,大地の成り立ちと変化,気象とその変化,地球と宇宙などについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(4)生物とそれを取り巻く自然の事物・現象を調べる活動を行い,これらの活動を通して生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を育て,自然を総合的に見ることができるようにする。

2 柱書

 生命や地球に関する事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

第2分野の目標は,第1分野の目標と同様に,教科の目標を受けて示しているものであり,第2分野の特質に即して,ねらいをより具体的に述べている。

第2分野の目標(1)は,

教科の目標の「自然の事物・現象についての理解を深め,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする」を受けて,

生命や地球に関する観察,実験などを行い,それらの事物・現象について理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるというねらいを示している。

目標(2)は,

教科の目標の「観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う」を受けて,

小学校で身に付けた問題を見いだす力や根拠のある予想や仮説を発想する力などを発展させ,生命や地球に関する事物・現象について多様性に気付くとともに規則性を見いだしたり,課題を解決したりする方法を身に付け,思考力,判断力,表現力等を養うというねらいを示している。

目標(3)は,

自然の事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養う」を受けて,

生命や地球に関する自然の事物・現象に進んで関わり,自然を科学的に探究する活動を行い,科学的に探究しようとする態度を養うとともに,生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を育て,自然を総合的に見ることができるようにするというねらいを示している。

3 三つの柱

(1)知識及び技能

(1)生命や地球に関する事物・現象についての観察,実験などを行い,生物の体のつくりと働き,生命の連続性,大地の成り立ちと変化,気象とその変化,地球と宇宙などについて理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。

この目標は,

  • 第2分野の学習の対象が,生命や地球に関する事物・現象であることを示すとともに,
  • 生命や地球に関する観察,実験などを行い,それらの事物・現象について理解するとともに,
  • 科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付ける

ことがねらいであることを示している。

ここでは,

  • 「いろいろな生物とその共通点」,
  • 「生物の体のつくりと働き」,
  • 「生命の連続性」,
  • 「大地の成り立ちと変化」,
  • 「気象とその変化」,
  • 「地球と宇宙」など,

「生命」や「地球」についての科学の基本的な概念等を柱として内容を構成している。

「生命」を柱とする領域では,

生物や生物現象についての観察,実験などを行うことを通して,それらの事物・現象に対する基本的な知識を身に付けるとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けることがねらいである。

ここでは,小学校での学習につなげて,いろいろな生物とその共通点,生物の体のつくりと働き,生命の連続性に関して内容の系統性を重視し,科学的に探究する活動を通して,科学的な知識や基本的な概念が獲得されるようにしている。

「地球」を柱とする領域では,

地球に関する事物・現象についての観察,実験などを行うことを通して,それらの事物・現象に対する基本的な知識を身に付けるとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けることがねらいである。

ここでは,小学校での学習につなげて,火山及び地震,地層,気象,天体などに関して内容の系統性を重視し,科学的に探究する活動を通して,科学的な知識や基本的な概念が獲得されるようにしている。

(2)思考力,判断力,表現力等

(2)生命や地球に関する事物・現象に関わり,それらの中に問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し表現するなど,科学的に探究する活動を通して,多様性に気付くとともに規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養う。

この目標は,

  • 生命や地球に関する事物・現象に対して関わり,科学的に探究する活動を通して,
  • 多様性に気付くとともに規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養う

ことがねらいであることを示している。

第2分野においても,第1分野と同様に,生徒自身が問題を見いだし,自ら進んで探究する活動を行い,分析して解釈することを通して,多様性共通性に気付くとともに,規則性関係性を見いだしたり,課題を解決したりするように方向付けることが大切である。

一方,第2分野の特徴として,再現したり実験したりすることが困難な事物・現象を扱うことがある。

例えば,生物体に見られる複雑な物質の相互関係から生じる現象や長大な時間の経過に伴う生物の進化,及び日常の経験を超えた時間と空間の中で生じる地質や天体の現象は,授業の限られた条件の中で再現することは難しい。

このような自然の事物・現象は,数量化が困難であったり,仮説の検証が十分に行えないものがあったりする。

自然の事物・現象を科学的に探究する活動では,観察したり資料を調べたりして情報を収集し,そこから考察することなどに重点が置かれることになる。その際,映像やモデルの活用なども考えられる。直接経験やそれらに準ずる学習活動も含めて,科学的に探究することが重要である。

こうした第2分野の特徴も踏まえて,自然を概観し,事象を比較して検討を行い,多様性共通性関係性規則性を見いだすことによりその事象と周囲の事象との関係を分析して解釈するなど思考力,判断力,表現力等を育成することが重要である。その際,表やグラフの作成,モデルの活用,コンピュータなどICTの活用,レポートの作成や発表を行うことなどが大切である。

(3)学びに向かう力,人間性等

(3)生命や地球に関する事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度と,生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。

この目標は,

  • 生命や地球に関する事物・現象について進んで関わり,観察,実験などを行い,科学的に探究しようとする態度を養うとともに,
  • 生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を養うこと,
  • 及び自然と人間との関わりを認識して,自然を総合的に見ることができるようにする

ことがねらいであることを示している。

生命や地球に関する事物・現象について,

  • 生徒が進んで関わり,それらの事物・現象に対する気付きから問題を見いだして解決しようとする態度や,
  • それらの事物・現象の理解が深まることによって新たな問題を見いだそうとする態度など,

科学的に探究しようとする態度を養うことが大切である。

その際,理科の学習で得た知識及び技能を活用して,生命や地球に関する自然の事物・現象を総合的に見たり考えたりしようとする態度を身に付けさせることが重要である。

また,生命や地球に関する自然の事物・現象を調べる観察,実験などを行い,生命現象が精妙な仕組みに支えられていることに気付かせて生命尊重の態度を養うとともに,

地球の営みとして地学的な自然現象が起こることや,生物が互いに関わり合いながら地学的な自然と一体となって自然界を構成し,全体としてつり合いが保たれていることを理解させ,自然に対する畏敬の念を育てる

さらに,自然の恵みや災害を取り扱い,人は自然から多大な恩恵を受けている一方で,災害がもたらされる場合もあることや,人間の活動も自然環境に多大な影響を与えることを認識させることによって,自然環境の保全に寄与する態度が育成されるものと考えられる。

このような学習を通して,自然と人間が調和した持続可能な社会をつくっていくために科学的な根拠に基づいて意思決定ができるよう指導することが大切である。


出典:文部科学省「中学校学習指導要領解説理科編 第2章 理科の目標及び内容 第1節 教科の目標」平成29年6月[ONLINE]http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/13/1387018_5.pdf(参照2018/04/02)を加工して作成
文部科学省「中学校学習指導要領解説理科編 第2章 理科の目標及び内容 第1節 教科の目標」平成29年7月[ONLINE]http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/06/12/1387018_5_2_2.pdf(cf:2018-12-17)






資料

理科の各領域における特徴的な見方の整理例

中教審添付資料「理科の各領域における特徴的な見方の整理例」において,「自然の事物・現象を主として量的・関係的な視点で捉える」「自然の事物・現象を主として質的・実体的な視点で捉える」「生命に関する自然の事物・現象を主として多様性と共通性の視点で捉える」「地球や宇宙に関する自然の事物・現象を主として時間的・空間的な視点で捉える」という四つの理科の見方学校段階ごとに示されています

理科の各領域における特徴的な見方の整理例

出典:中央教育審議会「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)別添資料(2/3)表2 理科の各領域における特徴的な見方の整理例」平成28年12月21日[ONLINE]http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/01/10/1380902_3_2.pdf(参照2018/04/03)

理科において育成を目指す資質・能力の整理

中教審添付資料「理科において育成を目指す資質・能力の整理」において,「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」という資質・能力の三つの柱と「資質・能力の育成のために重視すべき学習過程等の例」として資質・能力と学習過程学校段階ごとに示されています

理科において育成を目指す資質・能力の整理

出典:中央教育審議会「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)別添資料(2/3)理科において育成を目指す資質・能力の整理 別添5-1 」平成28年12月21日[ONLINE]http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/01/10/1380902_3_2.pdf(参照2018/04/03)