プログラミング教育について,イギリスと日本の教育課程における位置付けは,どのように違うのでしょうか。
イギリスのナショナルカリキュラムでは,キーステージの1から4の全体を通じて,英語や数学と並ぶ教科「コンピューティング」として位置付けられています。

日本の学習指導要領では,教科等には位置付けられていません。

プログラミング教育は,各教科等の特徴を踏まえ,教育活動全体を通じて指導します。


本稿では,イギリスと日本のプログラミング教育が教科等レベルでどのように位置付けられているかについて考えます。






1 キーステージ1と2での位置付け

プイマリースクールの必須カリキュラム教科は,次のとおりです。

  1. English 英語
  2. maths 数学
  3. science 科学
  4. design and technology デザインとテクノロジー
  5. history 歴史
  6. geography 地理
  7. art and design アートとデザイン
  8. music 音楽
  9. physical education (PE), including swimming 水泳を含む体育
  10. computing  コンピューティング
  11. ancient and modern foreign languages (at key stage 2) 古代と現代の外国語(キーステージ2)

religious education (RE)学校は宗教教育を提供する必要がありますが,親はレッスン全体またはその一部から子供を受けさせないことができます。

また,他にも学校がしばしば教育する内容として,以下があります。

  1. personal, social and health education (PSHE)  個人,社会,および健康教育
  2. citizenship 市民権
  3. modern foreign languages (at key stage 1)  現代の外国語(キーステージ1)

2 キーステージ3での位置付け

キーステージ3の義務教育カリキュラム教科は次のとおりです。

  1. English 英語
  2. maths 数学
  3. science 科学
  4. history 歴史
  5. geography 地理
  6. modern foreign languages 現代の外国語
  7. design and technology デザインとテクノロジー
  8. art and design アートとデザイン
  9. music 音楽
  10. physical education 体育
  11. citizenship 市民権
  12. computing コンピューティング

学校はキーステージ3から宗教教育(religious education (RE))と性教育(sex education)を提供しなければなりませんが,親は子供たちをレッスン全体またはその一部を受けさせないことができます。

3 キーステージ4での位置付け

キーステージ4では,ほとんどの生徒は国家資格(通常はGCSE)に向けて学習します。

義務教育カリキュラム教科は,「コア」教科と「基礎教科」で構成されます。

コア教科は,次のとおりです。

  1. English 英語
  2. maths 数学
  3. science 科学

基礎教科は,次のとおりです。

  1. computing コンピューティング
  2. physical education 体育
  3. citizenship 市民権

学校はまた,それぞれの分野から少なくとも1つの教科を提供しなければなりません。

  1. arts 芸術
  2. design and technology デザインとテクノロジー
  3. humanities 人文科学
  4. modern foreign languages 現代の外国語

キーステージ4で宗教教育(RE)と性教育を提供しなければなりません。

◯ English Baccalaureate (EBacc) 英語学位

パフォーマンス表には,英語,数学,2つの科学,言語,歴史または地理学でGCSEグレードC以上を取得した学生の数がEBaccによって示されています。

◯ その他の必須教科

子供たちは,以下の内容もまた学習しなければなりません:

  1. sex and relationships education (year 7 onwards)  性および人間関係教育(7年目以降)
  2. religious education (RE)  宗教教育
性および人間関係教育

性および人間関係教育(SRE)は11歳以上から義務付けられています。子どもに生殖,性的,性的健康を教えることです。早期の性行為や性的指向を促進するものではありません。

性および人間関係教育の一部は必須であり,これらは科学のための全国カリキュラムの一部です。子供たちは性および人間関係教育の他のすべての部分から子供に受けさせないことができます。

すべての学校には性教育に関する書面の方針がなければなりません。性教育は保護者が無料で利用できるようにする必要があります。

宗教教育

学校は宗教教育を教えなければならないが,両親は授業の全部または一部のために子供に受けさせないことができます。生徒は一度18歳になると自分の判断で受けないことができます。

地方評議会は宗教教育の教育計画の決定に責任がありますが,信仰学校とアカデミーは独自の教育計画を設定することができます。

5 プログラミング教育は,教科「コンピューティング」として位置付け

このようにイギリスのコンピューティングの内容は,ナショナルカリキュラムでは,キーステージの1から4のすべてにおいて,全体を通じて教育されています。

とりわけ,独立の教科として位置付けられていることは注目に値します。

しかも,コンピューティングは,キーステージ4では基礎教科の筆頭に挙げられています。

このように1つの学問体系として,コンピューティングの教育を行っていると考えられます。

6 日本の小学校での位置付け

新学習指導要領(平成29年3月公示)では,各教科等の構成は次のようになっています。

  1. 各教科
    1. 国語
    2. 社会
    3. 算数
    4. 理科
    5. 生活
    6. 音楽
    7. 図画工作
    8. 家庭
    9. 体育
    10. 外国語
  2. 特別の教科道徳
  3. 外国語活動
  4. 総合的な学習の時間
  5. 特別活動

このようにプログラミング教育は,教科等には位置付けられていません。

情報活用能力の育成との関わりで示すなど,各教科等の特徴を踏まえ,教育活動全体を通じて指導することとなります。

その具体についてはまた別稿で考えていきます。

1 プログラミング教育は,イギリスのナショナルカリキュラムでは,キーステージの1から4の全体を通じて,英語や数学と並ぶ教科「コンピューティング」として位置付けられています。

2 プログラミング教育は,日本の学習指導要領では,教科等には位置付けられていません。

3 プログラミング教育は,各教科等の特徴を踏まえ,教育活動全体を通じて指導します。

GOV.UK “National curriculum”April2017, [online]https://www.gov.uk/national-curriculum(参照2017-4-20)

文部科学省「小学校学習指導要領」平成29年3月:, [online]http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles/afieldfile/2017/04/27/1384661_4_1.pdf(参照2017-4-20)