これからの社会を生きていくためには,どのような資質・能力が必要なのでしょうか。
それは,以下の三つです。

  • 情報を読み解く力
  • 情報技術を活用して論理的・創造的に問題解決・価値創造する力
  • 感性を働かせながら,よりよい社会や人生の在り方について考え,学んだことを生かそうとする態度

その中の「情報を読み解く力」について考えます。

メディアリテラシーを,より一層情報の背後にあるものにも目を向けた情報を読み解く力としてとらえた力の育成が必要です。

情報の読み方や考え方,態度が十分育っていれば,同じ情報を得ても,行動や結果が変わることがあります。

情報を読み解く力」は,情報化が進展する社会で,特に重要となる資質・能力の一つです。

本稿では,具体的な生活場面を想定して,情報を読み解く力の必要性や具体の姿を考えていきます。






1 特に重要となる資質・能力

情報化が進展する社会では,次の資質・能力が,特に重要になると協力者会議の答申では報告されています。

  1. 情報を読み解く
  2. 情報技術を手段として使いこなしながら,論理的・創造的に思考して課題を発見・解決し,新たな価値を創造する
  3. 感性を働かせながら,よりよい社会や人生の在り方について考え,学んだことを生かそうとする

本稿では,1つ目の「情報を読み解く」力について考えます。

2 情報を読み解く資質・能力

複雑な情報を読み解くために必要な読解力は,時代を超えて常に重要なものであり,これからの時代においてもその重要性が変わることはない。情報化が進展する社会において求められる情報活用能力(世の中の様々な事象を情報とその結びつきとして捉えて把握し,情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して,問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力)の基盤となるのも,こうした読解力である。
小学校段階における論理的思考力や創造性,問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」平成28年6月16日, [online]http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/122/attach/1372525.htm(参照2017-3-1)

3 背景を含めて読み取るメディアリテラシー

情報を読み解く力をテーマとするとき,メディアリテラシーが中心の1つとして挙げられるでしょう。

メディアリテラシーとは「メディアを批判的に読み解く力」と解されます。

ここでいう「メディア」は,新聞やテレビなどのマスメディアのことを指すことが多いです。

メディアリテラシーは,メディアの発信する情報を適切に読み解いたり必要に応じて使いこなしたりすることができる力の意味で用いられます。

最近では,SNSやブログなどで,個人の情報発信が盛んに行われています。そのような個人の発信するメディアに対するリテラシーという意味では用いられません。

このメディアリテラシーについては,学校教育では既に2000年ごろから情報教育の柱の一つとして,指導されてきた資質・能力です。

メディアリテラシーの育成が叫ばれて久しい中,再度,有識者会議が論議の取りまとめで「情報を読み解く力」を示したのには,確かなメディアリテラシーの育成はもとより,メディアリテラシーをさらに深めた意味での資質・能力の育成が欠かせないと提言したと読み取れます。

メディアの発する情報には偏りがある場合があります。

事実を情報として発信するとき,情報の取捨選択は避けられません。

既にここで物理的に情報は抽象され偏りが生まれる可能性があります。受信者を誘導する情報操作が行われる場合も考えられます。

意図する,しないにかかわらず様々な要因でメディアが伝達する情報に偏りが生じる可能性があります。

このような中,マスメディアから発信された情報を受け取る際に,偏りに気付くノウハウを身に付けておく必要があります。

  1. 他の情報と比較すること。
  2. 出典や根拠を確かめること。
  3. 出典があれば,その出典を確かめること。
  4. 表やグラフなど,情報の表現の仕方を詳細に確認すること。
  5. 情報のキーワードとなる知識の理解を確かにすること。
  6. 情報発信者の他情報の取り扱い方や姿勢を確かめること。
  7. 自身の知識や生活経験,他の人の受け止め方などと比較すること。

以上に示したメディアリテラシーは,正確に情報を読み取る趣旨が中心です。

このメディアリテラシーを,より一層情報の背後にあるものにも目を向けていく,そのような情報を読み解く力の育成が必要な時代になってきました。

「なぜ今この情報が発信されたのか」,

「この情報が意味するものは何なのか」,

「この情報によってどのような動きが生まれるか」

など,情報を正確に受け止めながら,情報が発信された背後や基盤を踏まえ,全体として情報を読み解いていく資質・能力が必要です。

3 日常の情報を生活改善に生かす

情報は日常生活の小さな場面にもあります。

その小さな情報を読み解き,大きな地域の安全確保につなぐ例を考えます。

新興住宅地のある交差点で,続けて2件自動車同士の交通事故が起りました。

その事故を受け,自治会では地域住民に注意喚起の文書を配布しました。

Aさんは,事故情報を確かめようと現地に行きました。

現地には,一旦停止の白線や道路標識はなく,信号機も未設置です。

道路の幅は東西方向が広く東西方向の優先道路です。

Aさんは,現地に行って確かめることで多くの事実を得ました。

さらに,ドライバーの立場で道路を歩くと事故原因が見えてきました。

  • 東西を走る車から見ると,狭い道路から車がノーストップで進入するとは予測しにくい。
  • 南北を走る車から見ると,広い道路と交差するとは予測しにくい。

加えて,この道路が通学路であることも分かりました。

そこで,Aさんは,地域の自治会の会議で,信号機設置の相談をしました。

しばらくして,その交差点に信号機が設置されました。

以降,この交差点では交通事故は起こっていません。

4 同じ情報から生まれる結果の違い

情報ただ鵜呑みにするのではなく,情報を事実と照らし合わせ確かめようとする態度の育成が重要です。

そして,小さな情報を地域の大きな生活改善につなぐ。

このような情報の受け止め方も,求める情報を読み解く力の一つと考えることができます。

情報の受け止め方や活用の仕方,情報に対する考え方や態度は,その人の資質・能力に大きく依存します。

ここに,教育の意味や必要性,必然性が生まれます。

あふれる情報の中から必要な情報を取り出し,理解し,関連を見出す。

それを通して,事象を把握したり問題を解決できたりする資質・能力が必要です。






1 これからの時代に求められる資質・能力の1つは,「情報を読み解く力」です。

2 メディアリテラシーを,より一層情報の背後にあるものにも目を向けた情報を読み解く力としてとらえた力の育成が必要です。

3 情報の読み方や考え方,態度の育ちの違いで,同じ情報からの行動や結果が違うことがあります。

4 「情報を読み解く力」は,情報化が進展する社会で特に重要となる資質・能力です。

小学校段階における論理的思考力や創造性,問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」平成28年6月16日, [online]http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/122/attach/1372525.htm(参照2017-3-1)