the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
イギリスのカリキュラム体系は,日本とどのように違うのでしょうか。
日本では学習指導要領に基づいて教育が行われますが,英国ではナショナルカリキュラムに基づいて行われます。

ナショナルカリキュラムは,年齢別に4グループで構成したキーステージで編成され,教科の内容や達成目標が示されています。


本稿では,プログラミング教育を考えるに当たり,英国のコンピューティングについて調べるため,英国の学校制度等を調べてまとめました。






1 ナショナルカリキュラムに基づくイギリス

イギリスには,「ナショナルカリキュラム(National curriculum)」と言われる国が定めたカリキュラムがあります。

基本となる学校のカリキュラムには,ナショナルカリキュラムとあわせて宗教教育(religious education) と性教育(sex education)が含まれています。

ナショナルカリキュラムは,プライマリースクールとセカンダリースクールで教育する教科や基準を定めており,子供たちは同じものを学ぶことになります。

ナショナルカリキュラムでは,どのような教科が教えられているか,また,それぞれの教科で子供たちが到達すべき基準は何かを説明しています。

アカデミーや私立学校のような他の種類の学校は,国のカリキュラムに従う必要はありません。

なお,アカデミーは,幅広くバランスの取れたカリキュラムで教育しなくてはなりません。英語と数学,科学を含めて教育します。

それらの学校は,宗教教育も必要となります。

2 学習指導要領に基づく日本

日本で,ナショナルカリキュラムにあたるのは,「学習指導要領」です。

文部科学省が,学校教育法等に基づいて,各学校が教育課程(カリキュラム)を編成する基準を定めています。

子供たちが全国のどの地域で教育を受けても,一定の水準の教育を受けられるようにするためです。

また,学校教育法施行規則で,小・中学校の教科等の年間の標準授業時数等が定められています。

各学校では,この「学習指導要領」や年間の標準授業時数等を踏まえ,地域や学校の実態に応じて,教育課程(カリキュラム)を編成しています。

3 4つのキーステージで編成されるナショナルカリキュラム

イギリスのナショナルカリキュラムは,キーステージ(KS)と呼ばれる年単位のブロックで,編成されています。

それぞれのキーステージの終わりには,子供たちの達成状況を教師が公式に評価します。

school

4 イギリスの学校種と系統

イギリスのすべての子供たちは,5歳から16歳までの間に,自由な場所の州立学校に通うことができます。

ほとんどの州立学校は,ナショナルカリキュラムに従わなければなりません。

最も一般的な学校としては,次のようなものがあります。

(1)種類

① コミュニティスクール community schools

地域の評議会によって管理され,ビジネスや宗教団体の影響を受けません。

② ファンデーションスクールとボランタリースクール foundation schools and voluntary schools

コミュニティスクールよりも物事を変える自由があります。

③ アカデミー academies

地方評議会から独立した統治機関によって運営されています。

アカデミーは違ったカリキュラムに従うことができます。

④ グラマースクール grammar schools

評議会や財団,信託によって運営されています。

グラマースクールは,全部またはほとんどの生徒を学力に基づいて選びます。そしてしばしば入学のための試験があります。

⑤ スペシャルスクール special schools

11歳以上の生徒が通う特別学校は,特別な教育的ニーズの「コミュニケーションとインタラクション」「認知と学習」「社会的,感情的,精神的な健康」「感覚的および身体的ニーズ」の4分野のうち1分野を専門とすることができます。

(2)系統

学校の系統としては,主なところでは次のようになっています。

① プイマリースクール(primary school)

ア インファントスクール(infant school)

初等学校前期 Key Stage 1:5~7歳 1,2学年

イ ジュニアスクール(junior school)

初等教育後期 Key Stage 2 :7~11歳  3~6学年

② セカンダリースクール(secondary school)

中等教育 Key Stage 3:11~14歳 7~9学年,Key Stage 4:14~16歳 10,11学年

5 日本の学校の種類と設置者

日本の学校については,学校教育法第一条で次のように定められています。

  • 幼稚園
  • 小学校
  • 中学校
  • 義務教育学校
  • 高等学校
  • 中等教育学校
  • 特別支援学校
  • 大学及び高等専門学校

また,学校を設置できるのは,学校教育法第2条,私立学校法第3条により,以下の国と地方公共団体及び学校法人に限られていました。

  • 国:国立学校(国立大学法人法 (平成十五年法律第百十二号)第二条第一項 に規定する国立大学法人及び独立行政法人国立高等専門学校機構を含む。以下同じ。)
  • 地方公共団体:公立学校(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第六十八条第一項 に規定する公立大学法人を含む。次項において同じ。)
  • 学校法人:私立学校

現在は,規制緩和により,株式会社による学校である株式会社立学校が設立されています。

6 ナショナルカリキュラムのコンピューティング

イギリスの義務教育期間は,日本よりも長く11年間です。初等学校(プライマリースクール:Key Stage 1-2)及び中等学校(セカンダリースクール:KeyStage 3-4)の期間です。

日本の幼稚園にあたる就学前教育としてはナーサリースクールというものもあります。

ところで,本サイトでは小学校教育におけるプログラミング教育を中心に考えていきます。

参考にしようとする「コンピューティング」の内容は,プイマリースクールとセカンダリースクールの指導内容です。

その中でも特に,日本の小学校段階と対応するセカンダリースクールの前期までの内容を中心に考えます。

イギリスのコンピューティングの指導内容をつかむためには,これまで述べたようなキーステージを踏まえる必要があります。

別項では,このキーステージ等を基にしたナショナルカリキュラムのコンピューティングについて考えていきたいと思います。

1 日本では学習指導要領に基づいて教育が行われますが,イギリスではナショナルカリキュラムに基づいて行われます。

2 ナショナルカリキュラムは4つのキーステージで編成され,教科の内容や達成目標が示されています。

3 別稿では,プログラミング教育の理解を深めるため,イギリスのプイマリースクールとセカンダリースクール前期のコンピューティングについて指導内容を考えます。

本文は,下記の内容に基づいた記述に努めましたが,英語力等の問題で正確には表現できておらず,一部個人的意見等を挿入しています。

本稿は,参考程度にしていただければ幸いです。

【参考】

GOV.UK “National curriculum”April2017, [online]https://www.gov.uk/national-curriculum(参照2017-4-20)

GOV.UK “Types of school”April2017, [online]https//www.gov.uk/types-of-school(参照2017-4-20)

文部科学省「学習指導要領とは」登録:平成21年以前:, [online]http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm(参照2017-4-20)