個人データは自己管理の時代へ
自分の買い物をしたレシートなどのデータは,活用できているでしょうか。
個人データを自己管理する社会では,新たな価値が生まれる可能性があります。

個人情報の企業の活用は進んでいますが,データ提供者本人の恩恵は分かりにくい現状があります。一方で,個人の選択で自分のデータを多様に流用できるデータポータビリティが,海外で進んでいます。

日本でのその実現には,方針策定やインフラ整備等に加え,人が社会に適応し豊かに過ごすための資質・能力の向上も必要です。

本稿では,個人データを自己管理する社会に向けた取組の必要性を考えます。

1 個人情報の所有者は誰か

経済産業省のホームページに,「個人情報は誰のもの?:データポータビリティ」と興味あるトピックが掲載されていました。

個人情報は個人のもの,と答えるところです。

しかし,現状は企業が抱え込み,個人が活用できていない。一方で,自分のデータを多様に流用できる「データポータビリティ」という試みがあるとの話です。

内容の概要は,次のようです。

2 購入情報が資産価値を生む

あらゆるものがインターネットに繋がるIoT時代。私たちの行動パターンなどの個人データは,ビッグデータとして企業に分析されています。

例えば,スマホアプリやポイントカードの個人情報は,各企業が厳重に管理し分析して商品やサービスの質を高めています。

しかし,データ提供者本人の恩恵は分かりにくい。自分のデータの利用状況や価値は本人ですら正確な把握は困難です。

欧米では既に,個人の選択で,自分のデータをさまざまに流用できる「データポータビリティ」という試みが進められています。

この仕組では,各企業が保有するデータに,本人が自由にアクセスできます。また,本人の判断次第で,第三者へ提供もできます。

個人データは,本人が提供したものであり,本人のものでもあるのです。

例えば,家計簿アプリを切り替える時,これまでのデータを全て移行できます。手間も減り,「乗り換え割」のようなメリットもできるかもしれません。

個人データが自己管理される社会では,これまでなかった価値が生まれる可能性があります。

経済産業省【60秒解説】「個人情報は誰のもの?:データポータビリティ」(要約)2017年1月26日

[ONLINE]http://www.meti.go.jp/main/60sec/2017/20170126001.html (参照2017年4月27日)

3 自分の情報の活用で,価値が創造される社会

以上のように,行動パターンなどの個人情報は,個人が自己管理し積極的に活用することで,新たな価値が生まれる社会が将来やってくるというものです。

そのため電子レシートのアプリを使った社会実験が行われます。この社会実験については,別稿で述べています。Cf.「電子レシートが資産価値を持つ時代へ」

この記事では,情報と人間との関係のあるべき姿を明確にしています。

情報が中心ではなく,人,個人が主体です。

人にひもづく情報は,その人のものです。どう使うかは,その人の判断に任されています。

積極的に活用していけば,新たな価値を生むことができます。

商品の購入行動など,人と企業の関わりで生まれた情報は,企業の情報でありその人の情報です。企業の活用は進んでいますが,個人の活用は進んでいません。

先の記事は,自己情報の活用で価値が創造される社会を創ろうとする確かな方針と強い願いを感じる内容です。

4 求められる資質・能力

筆者は,これまで経済産業省の事業や取組にあまり関心がありませんでした。

先のように,

人と情報の関係がどうあるべきか,

社会がどうあるべきか,

目指す社会像をつくり,それに基づいて経済産業省が事業を進めていることに改めて気付かされました。

このような自己情報の活用で価値が創造される社会を実現するためには,経済産業省のリードと企業等の技術開発,インフラ整備等に加え,人がその社会に適応し豊かに過ごすための資質・能力の向上も必要です。

その一つとして,まずは,人と情報の関係の在り方,行動パターン等が情報として活用でき価値を創造できることを理解することが必要でしょう。

また,情報端末の操作方法やサービスの仕組を理解し,それらを活用する技術の習得も求められでしょう。

さらには,情報や情報機器,仕組等の望ましい活用を図り目指す社会づくりに参画しようとする態度が身に付くことも必要でしょう。

そのような態度をもち知識や技術を活用していくことが,豊かな社会づくりにつながっていきます。

このようなことから,経済産業省の社会実験等の取組と併せて,学校等の取組が目指す社会の実現に生きて働くようにしていくことが大切と考えます。


1 個人情報の各企業の活用は進んでいるが,データ提供者本人の恩恵は分かりにくい。
2 個人の選択で自分のデータを多様に流用できる「データポータビリティ」が進んでいる。
3 個人データが自己管理される社会では,新たな価値が生まれる可能性がある。
4 方針策定やインフラ整備等に加え,人がその社会に適応し豊かに過ごすための資質・能力の向上も必要である。