報通信機器の進化は,どのようになっているのでしょうか。それに応じて必要な資質・能力は変わっているのでしょうか。
スマートフォンの世帯保有率は,およそ1割だったものが4年間で平成26年には6割強まで増えました。その利用に際し,当初はマナー違反も見られましたが,今では少なくなりました。

情報通信機器の進化など社会の変化に伴い求められる資質能力には変わるものと変わらないものがあります。

社会の変化に応じた求められる資質・能力の具体を明らかにする必要があります。それらの育成を学校教育が中心となり担っていく必要があります。

1 スマートフォンの世帯保有率64.2%

電車やバスに乗れば,スマートフォンに視線を向ける乗客の姿をしばしば見かけます。

また,耳にイヤホンをつける姿も見られます。

スマートフォンは,人々の生活に急速に普及しました。

総務省の「平成26年通信利用動向調査」*1によれば,スマートフォンの世帯保有率は,平成22年末に9.7%,平成26年には64.2%に達しました。

およそ1割だったものが,4年間で6割強まで増えたというから驚きです。

情報通信端末のスマートフォンは,普及が急速に進んでいます。

公共交通機関で,利用する姿をよく見かけるのは,納得できるところです。

インターネット利用率は,82.8%(平成26年度末)*1です。

このことから,スマートフォン利用者のほとんどは,インターネット利用のために購入していると考えられます。

4,5年前は,電車で多くの人がスマートフォンに目を向ける光景を目の当たりにして,違和感を覚えました。

大きな音量出して音楽を聴く若者もいました。

他の乗客に迷惑をかけるマナー違反です。

しかし,今ではマナー違反と感じる光景もあまり見られなくなりました。

スマートフォンを利用する姿は,ごく自然に見えるようにもなりました。

情報通信端末の世帯保有率の推移

*1 総務省「平成26年通信利用動向調査」「インターネット利用端末の種類(平成26年末)図表7-2-1-3)」「情報通信端末の世帯保有率の推移図表7-2-1-1

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc372110.html(参照2017/05/03)※エクセルデータを筆者がグラフ化

2 情報通信機器の進化から見える必要な資質・能力

情報通信機器の進化は日進月歩です。

社会の変化を情報通信機器の変遷から振り返ってみましょう。

その中から,時々に必要な資質・能力が見えてくるかもしれません。

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総務省「移動体通信(携帯電話・PHS)の年度別人口普及率と契約数の推移年度別一覧(東海管内)」[ONLINE]http://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/tool/tokeisiryo/idoutai_nenbetu.html(cf.2017/5/10)※筆者グラフ化

(1)10年前

10年前の社会は,どんな様子だったでしょうか。

スマートフォンより,ガラケーと呼ばれる携帯電話が中心の時代でした。

携帯電話に,カメラやGPSの機能が付くと,話題となっていました。

今年は,iPhone 誕生10周年です。最新の型番は,iPhone7。

iPhone は,2007年に発表されて10年です。

「まだ10年」「もう10年」。筆者は「まだ10年だったのか。」という印象です。

(2)20年前

20年前(2000年代)の社会は,どんな様子だったでしょうか。

携帯電話の普及率はおよそ3割(東海地区)。

パソコン通信から,インターネットに移行が始まった時代です。

パソコン通信は,1980年代から2000年代まで活躍した情報通信手段です。

アナログ回線から,デジタル回線へ変わり始めた時期です。

その頃(2000年代)のインターネットの情報は,良質なものは多くなく,絶対量も乏しいものでした。

(3)30年以前

30年前(1990年代)の社会では,携帯電話を見ることはありませんでした。

パソコン通信を使うと文字が送信できました。

なぜ文字が送信できるのか不思議でたまらず,当時は画期的と驚いたものです。

平成生まれなら,知らない人が多いかもしれません。

「ピーヒョロロロー」とモデムの音が聞こえて回線がつながっていました。

もしくは,ISDNで無音だったかもしれません。

もっと以前は,1980年代にコードレス電話(親子電話)が誕生です。

コードがなくて自由に動くことができ,生活が便利になりました。

1970年代には多機能電話,1960年代にはプッシュホン。

プッシュホンは,センスの良い電話機。そういう印象が,子どもの頃にありました。

「ピィ,ポッ,パッ」という音が聞こえる。それがテレビコマーシャルにも登場した記憶があります。

1950年代は,黒電話。

新しい技術が生まれるたびに,新しい操作やマナーを学び,それに慣れる必要がありました。

電話が導入される初期の頃,学校では,電話の使い方のマナーを学習しました。

親の経験が少なく,家庭では教育できなかったからです。

歴史の長い学校には,学習用の電話機が残っていることがあります。

電話のなかった時代には,電話の使い方やマナーの学習は必要ない教育内容でした。

このように,教育の内容には,変わらないもの「不易」と変わるもの「流行」があることを実感します。

(4)50年前

50年ほど前(1970年代)は,電話が普及し始めました。

電話を持てる家庭は少なく,持てることがステータスでした。

学校に提出する家庭調査票には,「呼び出し電話」なる表記をしていました。

近所の電話番号をお借りしていたのです。

さらにその前の時代では,情報は,本を読むか,人に聞くしかありませんでした。

日常生活の中で,疑問が数々生まれますが,解決できないままに終わってしまうことが数多くありました。

3 情報通信機器の進化に対応した必要な資質能力

黒電話やプッシュホンなど電話の時代は,媒体は,音声です。電気信号の音声でした。

音声で,相手の考えを読み取ったり,心情を感じたりしていました。

顔を見て話すと分かることが電話ではわかりません。

電話のときは,声のトーンに意識を集中して,相手の気持ちを読み取ろうとしていました。

 

情報通信機器の進化により,文字,音声,動画など媒体とその質がよりリアルで高品質になりました。

提供される情報の影響力も大きくなってきました。

その進化に応じて,利用する側の人も,必要な操作機能や知識はマナーを身につけてきました。

いずれの時代においても,ともに読解力や論理的・創造的思考力,問題解決能力,人間性等は必要でした。

しかし,資質能力には変わるものと変わらないものがあります。

資質能力の不易と流行をとらえ,社会の変化に応じた資質・能力の具体を明らかにする必要があります。

それらの育成を学校教育が中心となり担っていく必要があります。

  1. スマートフォンの世帯保有率は,およそ1割だったものが4年間で平成26年には6割強まで増えました。
  2. その利用に際し,当初はマナーが確立していない面も見られましたが,今では少なくなりました。
  3. 情報通信機器の進化など社会の変化に伴い求められる資質能力には変わるものと変わらないものがあります。
  4. 社会の変化に応じた資質・能力の具体を明らかにする必要があります。
  5. それらの育成を学校教育が中心となり担っていく必要があります。