小学校算数科「量と測定」の指導は、どのようにすればよいのでしょうか。
長さ、面積、体積、重さ、角の大きさなどの保存性と加法性のある量の「量と測定」の指導では、一般に、直接比較間接比較任意単位による測定普遍単位による測定という4段階の比較・測定の学習活動を設定します。

指導の際には、次の点に留意します。

  • 量りたい量は何か、実感をもって理解できるようにします。
  • 単位は、比べたい量と同種の量から選び、どのような性質をもつものがよいかを話し合うようにします。
  • 量と測定の指導内容は、単元の展開や指導計画に類似性があるので、系統上の既習内容である量の意味や測定の意味の学びを、生かす展開が大切です。






1 「量と測定」領域の指導のねらい

小学校の各学年で指導する算数科の内容は、「A数と計算」、「B量と測定」、「C図形」、「D数量関係」の4領域に分けて示されています。

これは、算数の内容の全体を見やすくし、内容の系統性や発展性を分かりやすくするためです。

以下、「B量と測定」の一般的な指導の流れについて考えます。

小学校算数科「量と測定」のねらいは、

  1. 身の回りにある様々な量の単位と測定理解する
  2. 実際に測定できるようにする
  3. 量の大きさについての感覚を豊かにする

ことです。

算数科で指導する量の種類には、

長さ、面積、体積、時間、重さ、角の大きさ、速さなど

があります。

「量と測定」領域では、それぞれの量に応じた「単位」「測定」について指導します。

単位を用いて量の大きさを表す有用性に気付いたり、目的に応じて適切な単位を選んで測定したりできるようにします。

2 保存性と加法性のある量

長さ、面積、体積、重さ、角の大きさなどの基本的な量(外延量)は、量の保存性と加法性があります。

  • 量の保存性…ものの形を変形したり、幾つかに分割したり、位置を動かしたりしても、そのものの量の大きさは変わらない
  • 量の加法性…測定したい2つのものを合併したときの量が、それぞれのものの量の加法によって計算できる

加法性のない量もあります。

例えば、温度では、20度のお湯に30度のお湯を足すと50度にはなりません。

温度のような内包量には、加法性がないからです。

量の保存性等のある基本的な量の測定の指導では、一般に、4段階の比較・測定の学習活動を設定します。

直接比較、間接比較、任意単位による測定、普遍単位による測定という段階です。

3 比較・測定の段階

(1)直接比較

直接比較では、比べたいものの2つの大きさを、直接重ねるなどして比べます。

移動できるものを比べる場合には、これらを動かして、並べて置いたり重ねたりして比べます。

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例えば、長さの比較です。

本の縦と横の長さを比べるとき、本立てに並んでいる本は、本の上の位置で縦の長さが比べられます。

上の位置が高い方が、縦の長さが長いといえます。

一方、傾けて置かれた本は、正しく比べられません。

このように、直接比較は、比べたい2冊の本を直接重ねて比べます。

その際、本立てに揃えて置き、下を揃えるなど一方の端を揃えて比べる必要があります。

また、同じものが2冊ある場合は、直接並べて比べることができます。

(2)間接比較

間接比較では、比べたいものの2つの大きさを、それと等しい別のものに置き換えて、間接的に比べます。

比べるものが移動できない、目の前にない、時間とともに過ぎ去るようなとき、一方の量または両方の量を第3のものにうつし取って、うつし取った量を使って直接比較します。

これは、媒介物を用いた間接的な比較です。

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例えば、折り曲げられない物語の本で1冊しかないなどの場合は、直接重ねて比べることは困難です。

しかし、紙テープを使うと長さが比べられます。

まず、物語の本の縦に合わせて、一方の端を揃えて他方の端に印を入れます。

次に、紙テープを物語の本の横に端を揃えて合わせます。

物語の本の横の長さが、印を入れたところより内側に含まれていれば、縦の方が長いといえます

このような直接比較や間接比較を通して、具体的なものの属性のうち、比べようとしている量は何なのかが明確になり、その量についての理解が深まります。

(3)任意単位による測定

ninitani任意単位による測定では、比べたい2つのものの大きさを、それと同種の量のいくつ分という数値に置き換えて比べます。

大きさがどれだけかを示すために、量の大きさを数で表す量の「数化」を行います。

これは、測定です。

数化するために、測定するものと同種な適当なものを単位に決め、そのいくつ分かで大きさを表します。

これは、単位は任意に決められることから、任意単位による測定といいます。

例えば、任意単位としてクリップを利用し本の縦と横の長さを測定します。

本の縦にはクリップが8個並び、横にはクリップが6個並びました。

数の多い縦の長さの方が、クリップ2個分長いといえます。

第1学年の授業では、任意単位とするものは、手を開いた長さや鉛筆など、子どもの身近なものを利用します。

このように数値化することで、大きさの違いを明確に表して比べられるようになります。

(4)普遍単位による測定

人によって単位が違えば、せっかく測定しても大きさを正しく伝えられません。

社会では、単位の大きさが誰にも的確に分かる必要があります。

そこで、普遍的な法定単位を用いることが必要になります。

この単位による測定が、普遍単位による測定です。

そのため、指導では、共通なものが必要になるということも理解できるようにします。

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例えば、離れたところにいるAさんとBさんがが、自分の持つ本の縦の長さを比べます。

Aさんは鉛筆2本分の長さ、Bさんは鉛筆3本分の長さ。

基準とした鉛筆長さが異なるので単純に比較はできません。

このような不都合な状況を子どもに経験させることで、普遍単位による測定の必要性を感じさせることが大切です。

量の普遍単位としては、

  1. 第2学年:長さの単位ミリメートル(mm)、センチメートル(cm)、メートル(m)、体積の単位ミリリットル(ml)、デシリットル(dl)、リットル(l)、時間の単位(日、時、分)
  2. 第3学年:長さの単位(キロメートル(km))、重さの単位(グラム(g)、キログラム(kg))、時間の単位(秒)
  3. 第4学年:面積の単位(平方センチメートル(cm2)、平方メートル(m2)、平方キロメートル(km2))角の大きさの単位(度(°))
  4. 第5学年:体積の単位(立方センチメートル(cm3)、立方メートル(m3))

を指導します。

4 まとめ

長さ、面積、体積、重さ、角の大きさなどの基本的な量(外延量)は、量の保存性と加法性があります。

量の保存性等のある基本的な量の測定の指導では、一般に、直接比較、間接比較、任意単位による測定、普遍単位による測定という4段階の比較・測定の学習活動を設定します。

指導の際には、量りたい量は何か、比べようとしてる対象はどのようなものなのかを実感をもって理解できるようにします。

また、単位は、比べたい量と同種の量から選ぶ話合いをします。

長さなら1単位の長さ、面積なら1単位の面積、体積なら1単位の体積です。

そして、1単位の量は、どのような性質をもつものがよいかを話し合うようにします。

面積なら、形は、敷き詰めが容易な正方形。一辺の長さは、長さの単位が利用できる1cmにするなどです。

量と測定の指導内容は、単元の展開や指導計画に類似性があります。

系統上の既習内容である量の意味や測定の意味の学びを、生かす展開が大切です。

参考文献
文部科学省小学校学習指導要領解説算数(1)第1章~第2章(平成20年6月)[ONLINE]http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/06/16/1234931_004_1.pdf(参照2017/05/16)
文部科学省小学校学習指導要領解説算数(2)第3章~第4章(平成20年6月)[ONLINE]http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/06/16/1234931_004_2.pdf(参照2017/05/16)