プログラミング教育の具体 総則編、算数編
プログラミング教育は,総則での取り扱いや算数科の具体例はどうなっているのでしょうか。
新学習指導要領の総則では,プログラミング教育の言葉はなく学習活動のプログラミングが主体的・対話的深い学びのための授業改善の一手段として示されています。

算数科では,多角形の作図方法の一般化を学ぶ場面で,プログラミングの学習活動を行います。

プログラミング的思考の具体の一つは,正確な繰り返しを見つけ一般化する考え方です。

本稿では,学習指導要領の総則編と算数編についてまとめています。






1 プログラミング教育は学習活動

新学習指導要領(平成29年3月公示)では,「プログラミング教育」や「プログラミング的思考」の言葉は表記されていません。

プログラミング教育の内容としては,学習活動のプログラミングとして表記されています。

その具体は以下の通りです。

2 総則:論理的思考力を身に付ける学習活動のプログラミング

第1章 総則 第3 教育課程の実施と学習評価

1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善

各教科等の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

(3)第2の2の(1)に示す情報活用能力の育成を図るため,各学校において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。

あわせて,各教科等の特質に応じて,次の学習活動を計画的に実施すること。

ア 児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動

イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動

3 プログラミング:授業改善の手段としての学習活動

総則では,プログラミングは,情報活用能力の育成を図ることを目的とした配慮事項の関係の中で示されています。

特に,主体的・対話的深い学びの実現に向けた授業改善の手段として,プログラミングを一つの学習活動の工夫として示しています。

また,ここでプログラミングの学習活動の目的が,下記のように明確に示されています。

コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付ける

この論理的思考力が,イギリスのナショナルカリキュラムのcomputational thinkingに該当すると考えます。

さらに教科等では,算数科と理科,総合的な学習の時間で述べられていますが,ここではまず算数科について考えます。

4 算数科:正多角形の作図の一般化

第2章各教科第3節算数 第3 指導計画の作成と内容の取扱い

2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。

(2)数量や図形についての感覚を豊かにしたり,表やグラフを用いて表現する力を高めたりするなどのため,必要な場面においてコンピュータなどを適切に活用すること。また,第1章総則の第3の1の(3)のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には,児童の負担に配慮しつつ,例えば第2の各学年の内容の〔第5学年〕の「B図形」の(1)における正多角形の作図を行う学習に関連して,正確な繰り返し作業を行う必要があり,更に一部を変えることでいろいろな正多角形を同様に考えることができる場面などで取り扱うこと。

5 算数科:正確な繰り返しを見つけ一般化する考え方

(1)一般化して他の正多角形でも同様に作図方法を考える

算数科では,「数量や図形についての感覚を豊かにしたり,表やグラフを用いて表現する力を高めたりするなどのため,必要な場面においてコンピュータなどを適切に活用すること」については,これまでも実践されてきたことです。

プログラミング教育に直接的にかかわる内容としては,プログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動として,具体的に,図形領域の多角形の学習でプログラミングの学習活動を想定しています。

ここでのプログラミングの学習活動のねらいは,正多角形を作図するとき,正確な繰り返し作業を行う必要があります。さらに,一部を変えることで,いろいろな正多角形を同様に考えることができることを理解する場面です。

一つの正多角形の正確な繰り返し作業を伴う作図方法を,一般化して他の正多角形でも同様に作図方法を考えることができるようにすることをねらっています。

(2)繰り返しの見方・考え方は,算数科のアルゴリズムの考え

この繰り返しの見方・考え方,算数科ではアルゴリズムの考えとして学ぶことになっています。

このアルゴリズムの考えの代表的なものは,筆算です。

筆算の学習では,一定の手順が計算の意味に合っていることが分かれば,手順に沿って機械的に計算することに習熟することがねらいです。

この筆算でプログラミングを入れたいところですが,簡便な手計算を排除してプログラミングするというのは算数科のねらいから外れることになります。ただ,指導上の留意点として,プログラミング的思考を十分取り入れることができます。

(3)プログラミングは,数学的な考え方を学ぶための学習活動

留意したい点として,総則にしたがい,プログラミングは内容の取扱いで示しています。算数科の指導内容では触れていません。

このことは,プログラミングは内容ではなく目標を達成する方法論であることを明確に示すものです。

プログラミングは,学習活動であり,コーディングを覚えるものではありません。

算数科では,プログラミング体験で身に付けさせたい論理的思考力の具体例として,正確な繰り返し作業を見出し,その一部を変更して他の図形に適用する考え方が示されています。

算数科では,この考え方は一般化の数学的な考え方に含まれるものです。ただし,正確な繰り返しを見つけるという見方は,プログラミング的思考の特徴の一つといえます。

1 新学習指導要領では,「プログラミング教育」や「プログラミング的思考」の言葉はなく,学習活動のプログラミングとして表記されています。

2 プログラミングは,主体的・対話的深い学びのための授業改善の一つの手段です。

3 算数科では,多角形の作図の学習で,正確な繰り返しを見つけ一般化する考え方を学ぶ場面で,プログラミングの学習活動を行います。

4 プログラミング的思考の具体の一つは,正確な繰り返しを見つけ一般化する考え方です。

文部科学省「小学校学習指導要領」平成29年3月:, [online]http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles/afieldfile/2017/04/27/1384661_4_1.pdf(参照2017-4-20)