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数学的な見方・考え方の具体例として,算数科の「量と測定」領域の指導では,数学的な見方・考え方の指導はどのようにすればよいのでしょうか。
「量と測定」領域の指導例として,第4学年「面積」の指導では,面積について,単位と測定の意味を理解できるように指導します。
【注意】本単元の指導内容である「正方形,長方形の求積」など面積,体積など図形の計量は,平成32年度より全面実施される新学習指導要領では,「B図形」に再編成されます。※追記平成30年4月26日

  • 数学的な見方
    • 対象とする量として,平面的な広がりをもつ広さに着目すること
    • 長さの意味や測定の仕方と同じように,広さと同種の基になる大きさに着目すること
  • 数学的な考え方
    • 長さの比較や測定の学習から類推して,面積の意味や測定の仕方を考えること
    • 同種の基になる大きさを決め,その量の幾つ分という数値への置き換えを考えること

実践では,

  1. 花だんの広さくらべをし,平面的な広がりのある広さに着目する活動を設定します。
  2. ものの大きさの基になる大きさ単位の敷石に着目し,敷石の数で図形の面積を測定します。
  3. 単位に着目し,普遍性のある適切な単位を考え,単位正方形で面積を測定します。






1 算数科の見方・考え方

新学習指導要領では見方・考え方が明示されました。

  • 算数科の数学的な見方「事象を数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉える
  • 算数科の数学的な考え方「根拠を基に筋道を立てて考え,統合的・発展的に考える

それに伴い,小学校算数科の数学的な見方・考え方の案が,下記のように示されています。

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[1]文部科学省 教育課程部会算数・数学ワーキンググループ(第8回)配付資料参考資料2p5「数学的な見方・考え方」平成28年5月24日[ONLINE]http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/073/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/06/21/1372244_12.pdf(参照2017/05/14)

2 数学的な見方・考え方の具体例

(1)「量と測定」領域の数学的な見方・考え方

「量と測定」領域の数学的な見方・考え方は,

  • 数学的な見方
    • 量(ものの大きさ)に着目する。など。
    • ものの大きさの基になる大きさ (単位)に着目する。など
  • 数学的な考え方
    • 概念を形成したり性質を見いだしたりするために
      • 比較する。(差で,倍で)
      • 測定する。など

(2)第4学年「面積」の数学的な見方・考え方

第4学年「量と測定」領域「面積」の指導では,面積について,単位と測定の意味を理解できるように指導します。

面積の単位(平方センチメートル(cm2),平方メートル(m2),平方キロメートル(km2))と,平面図形(正方形,長方形)の面積の求め方を考えることを指導します。

  • 数学的な見方
    • 対象とする量として,平面的な広がりをもつ広さに着目すること
    • 長さの意味や測定の仕方と同じように,それと同種の基になる大きさに着目すること
  • 数学的な考え方
    • 長さの意味や測定の仕方から類推して,面積の意味や測定の仕方を考えること
    • 同種の基になる大きさを決め,その量の幾つ分という数値への置き換えを考えること
【注意】本単元の指導内容である「正方形,長方形の求積」など面積,体積など図形の計量は,平成32年度より全面実施される新学習指導要領では,「B図形」に再編成されます。

新しい「図形」領域の趣旨は,「図形を構成する要素に着目して,図形の性質を考察したり,それを活用したりする資質・能力を育む」領域であるということです。

図形の計量をする際は,図形の性質や図形を構成する要素などに着目していることなどから,基本的な平面図形の面積や立体図形の体積などの学習を,図形の特徴を計量的に捉えて考察するという視点から位置付け直し,上学年における「図形」領域の内容に移行しています。

五つの領域で構成された算数科の内容


追加の指導ポイント:数学的な見方・考え方

新学習指導要領では,図形領域が「図形を構成する要素に着目して図形の性質を考察する領域」となることから,「正方形,長方形の求積」の指導内容には,「面積の単位図形を構成する要素に着目し,図形の面積の求め方を考える」(思考力,判断力,表現力等)ことが示されています。

したがって,正方形や長方形には,辺にそって単位正方形が規則正しく並んでいるので,乗法を用いると,手際よく個数を求めることができるよさがあることに気付くことができるようにします。

このことにより,正方形や長方形の面積の求め方を考えるとともに,面積の求め方を振り返り,効率的・能率的な求め方を探求し,公式として導き,導いた公式を活用する資質・能力を育成することが大切です。※追記平成30年4月26日






3 指導の実際

(1)既習内容

第1学年では,日常で用いる量の単位を用いて測定する前の段階で,長さや面積や体積という量や測る意味を理解する基礎的経験をしています。

① 直接比較・間接比較の経験

長さの比較では,2本の鉛筆の長さを比べます。

移動できるよさを使って,並べて置いたり重ねたりして比較します。

この場合は,基準をそろえるという考えで,一方の端をきちんとそろえ,反対側の端で,その長短を判断します。

面積の比較では,重ねられるときは,重ねて一方が他方に完全に含まれれば,比べられます。

体積の比較では,大きな箱の中に小さな箱を入れられれば,2つの箱の体積を直接比べられます。

また,長さでは,紙テープに置き換えるなどして間接比較の経験をしています。

「机を入口から出せるか」「机の縦と横の長さはどちらが長いか」など,比べる物が移動できない場合は,ひも等に長さを写し取って,写し取った長さを比べて大小を判断します。

さらに,「かさくらべ」では,AとBの水を第3の入れ物に移してかさを比べる経験をしています。

② 任意単位を用いた大きさの比較の経験

適当な媒介物がない場合は,鉛筆や消しゴムなど適当な基準の長さを単位として,幾つ分ずつあるかを調べて数で表して比較する経験をしています。

面積では,同じ大きさの色板を並べ,色板が幾つあるかを数えて比べています。

また,面積の意味の理解につながる経験として,色板を並べたり,方眼を塗りつぶしたりする活動をしています。

ジャンケンに勝てばマスを塗り,数を競う「場所取りゲーム」なども経験しています。

体積では,コップや茶わんで何杯分あるかを調べて比べる経験をしています。

このように,身の回りにあるものの大きさを単位として数値化したり,大きさのちがいを明確に表して比べたりする経験をしています。

面積の経験はもちろんですが,長さや体積の比較や測定の経験が,第4学年の面積の意味や測定の意味についての理解の基礎となります。

(2)学習活動1「花だんの広さくらべ」

【平面的な広がりのある広さに着目する活動】

数学的な見方: 量(ものの大きさ)広さに着目する

数学的な考え方: 面積の概念を形成し性質を見いだすために,比較する。

単元の導入では,花だんの広さくらべです。

【活動1】「どの花だんがいちばん広いですか。」

Comparison of flowerbed area

(あ)は縦3横5の長方形,(い)は縦3横4の長方形,(う)は縦4横4の正方形の花だんです。

(あ)と(う)は,周りの長さは同じです。

C:(い)が,いちばんせまいです。

C:(あ)と(う)の周りの長さは,敷石16枚分で同じだけど,広さは同じかなあ。

(い)が,いちばん狭いことは容易に分かります。

(あ)と(う)については,検討が必要です。

この段階では,

  • C:「周りの長さが同じなので,面積は同じだ。」
  • C:「周りの長さが同じでも,面積は違うのではないか。」

と言う考えが予想されます。

また,比べる対象が「広さ」であることが,明確にはとらえられない場合も考えられます。

そこで,間接的に重ねて確かめる活動につなぎます。

(3)学習活動2「写しとって広さを比べる活動」

【間接比較の活動】

数学的な見方: 量(ものの大きさ)広さに着目する

数学的な考え方: 面積の概念を形成し性質を見いだすために,紙に写しとって(あ)と(う)の広さを比較する。

【活動2】(あ)と(う)の花だんを紙に写しとって,どちらが広いか比べてみましょう。

動かせない花だんの広さを比べるため,紙に写しとり,その写しとった広さを比べます。

Compared to overlap

C:「はみ出した部分は,(う)の方が広い。」

これまでの活動で,

広さは,周りの長さでは比べられないこと,

広さは,平面的な広がりをもつ量であること,

に気付くようにします。

「はみ出した部分は,しき石1こ分になっている」という児童の気付きを拾います。

そして,どれだけ広いのか,それぞれの広さはいくらか明確にできない問題を共有できるようにし,敷石の個数で調べる活動につなぎます。

このとき,長さの学習で,任意単位の測定方法など,長さの意味やその測定の意味を振り返るようにすることが大切です。

(4)学習活動3「しき石の数で広さを比べる活動」

【任意単位で測定する活動】

数学的な見方:ものの大きさの基になる大きさ (単位)敷石に着目する

数学的な考え方: 面積の概念を形成し性質を見いだすために,敷石の数で(あ)と(う)を測定する。

【活動3】「しき石が何こはいるかでくらべましょう。」

Comparison of number of cobblestones

C:(う)は(あ)より,しき石1こ分だけ広いです。

C:広さも数で表せそうです。

この活動を通して,

  • 単位を決めれば,広さを数値で表せそうなこと,
  • 数値で表せば,明確に広さを示せること,
  • 長さの測定の仕方のように,普遍的単位を用いれば,誰にでも分かる測定ができそうなこと

に気付くようにします。

(5)学習活動4「1cm2の正方形の数で比べる活動」

【普遍単位で測定する活動】

数学的な見方:ものの大きさの基になる大きさ (単位)単位正方形と長方形や正方形の辺に着目する。

数学的な考え方:普遍性のある適切な単位を考え,単位正方形で(あ)と(う)の面積を手際よく測定する方法を考える。

【活動4】「どちらがどれだけ広いですか。」

「1cm2の正方形が何こ分あるかでくらべましょう。」

Area comparison

【問い】「広さを数で表すしかたを考えよう。」数学的な見方・考え方

【問い】「しき石のかわりに,何を単位にするとよいだろう。」数学的な見方・考え方

長方形や正方形の面積を測定する単位は1辺が1cmの正方形が適当であることを理解できるようにすることが大切です。

  • 単位とする図形の適切な形
    • 正方形の形なら,縦と横を別々に考えることなく,同じように処理できるよさがある。
    • 正方形ならば回転しても,並び方が変わらないので,操作しやすい。
    • 例えば,長方形にすれば,面積を求めるとき辺の長さに対応せず数値を求めにくい。並べ方も決める必要がある。
    • 例えば,円では,隙間ができて正確に測定できない。
  • 単位とする図形の適切な大きさ
    • 正方形の一辺の長さに「cm」の単位を用いれば,長さと一貫性がとれ使いやすい。
    • 正方形の一辺の長さを「1」cmにすれば,長方形や正方形の辺の長さの数と単位正方形の数を一致させられる
    • 例えば,単位を2cmの正方形にすれば,縦4cm横6cmの長方形は,それぞれの辺の長さを2で割った数を使う必要がある。

正方形や長方形には,辺にそって単位正方形が規則正しく並んでいるので,乗法を用いると,手際よく個数を求めることができるよさがあることに気付くようにします。

そして,計算を用いて面積を求めたり, (長方形の面積)=(縦)×(横)(又は(横)×(縦)) という公式を見いだしたりできるようにします。

こうすることで,これまでに学習してきた乗法の一層の理解を深めるといった既習を基に統合的・発展的に考察する態度も養われます。

このことにより,正方形や長方形の面積の求め方を考えるとともに,面積の求め方を振り返り,効率的・能率的な求め方を探求し,公式として導き,導いた公式を活用する資質・能力を育成することが大切です。

(5)学習のまとめと振り返り

まとめでは,

  1. 広さを調べるには,重ねたり任意に単位を決めて数で比べたりできること
  2. 面積は,平面的な広がりのある量であること
  3. 面積は,周りの長さでは比べられないこと
  4. 面積は,図形の中に含まれる単位正方形の数で数値化できること
  5. 面積の単位は, 1cm2の正方形が適当であること
  6. 面積は,長さなどと同様に,単位を決めて測定できること

1~3は,量(ものの大きさ)に着目する数学的な見方から得られた対象となる量を振り返ります。

4,5は,普遍単位で測定する数学的な考え方です。

6は,面積を長さやかさを含めて,量として統合的に捉える数学的な考え方に気付くようにします。

このように,指導場面の数学的な見方・考え方を明確にして,授業を設計していくことが大切です。

参考文献
文部科学省小学校学習指導要領解説算数(1)第1章~第2章(平成20年6月)[ONLINE]http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/06/16/1234931_004_1.pdf(参照2017/05/16)

文部科学省小学校学習指導要領解説算数(2)第3章~第4章(平成20年6月)[ONLINE]http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/06/16/1234931_004_2.pdf

第4学年「面積」の指導では,面積について,単位と測定の意味を理解できるように指導します。

  • 数学的な見方
    • 対象とする量として平面的な広がりをもつ広さに着目すること
    • 長さの時と同じように,広さと同種の基になる大きさに着目すること
  • 数学的な考え方
    • 長さの比較や測定の学習から類推して,面積の意味や測定の仕方を考えること
    • 同種の基になる大きさを決め,その量の幾つ分という数値への置き換えを考えること

実践では,

  1. 花だんの広さくらべをし,平面的な広がりのある広さに着目する活動を設定します。動かせない花だんの広さを比べるため,紙に写しとり,その写しとった広さを比べます。
  2. しき石の数で広さを比べる活動を設定し,任意単位で測定する活動を設定します。ものの大きさの基になる大きさ単位の敷石に着目し,敷石の数で図形の面積を測定します。
  3. 1cm2の正方形の数で比べる活動を設定します。単位に着目し,普遍性のある適切な単位を考え,単位正方形で面積を測定します。