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自動車の寿命は、何年なのでしょうか。
「わが国の自動車保有動向」によれば、自動車の寿命は、平成30年3月末時点で乗用車は13.24年、貨物車は14.72年、乗合車17.69年です。
線形近似曲線の式を基にすると、2018年式新車乗用車の寿命の予測は、14.35年となります。

1 自動車の平均車齢と平均使用年数

(1)自動車の寿命

「わが国の自動車保有動向」※1では、自動車の平均車齢は人間の平均年齢に相当し、また、自動車の平均使用年数は人間の平均寿命に相当するとしています。

「わが国の自動車保有動向」によれば、平成30年3月末の乗用車3,953万3,782台(軽自動車を除く)の平均車齢は8.60年、貨物車586万6,623台(軽自動車・被けん引車を除く)の平均車齢は11.41年、乗合車が11.81年です。

また、平成30年3月末の乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は13.24年、貨物車(軽自動車・被けん引車を除く)の平均使用年数は14.72年で平均使用年数は、乗合車が17.69年です。

平均車齢(年) 平均使用年数(年)
乗用車(軽自動車を除く) 8.60 13.24
貨物車(軽自動車・被けん引車を除く) 11.41 14.72
乗合車 11.81 17.69

したがって、自動車の寿命としては、平成30年3月末時点で、乗用車は13.24年、貨物車は14.72年、乗合車17.69年です。






(2)平均車齢

人間の平均寿命に相当する平均使用年数は、「国内で新規(新車)登録されてから抹消登録するまでの平均年数」です。

平均使用年数を詳述すると、次のようです。※1

自動車検査登録情報協会が公表している自動車の平均使用年数(軽自動車を除く)とは、初度登録年度ごとに1年前の保有台数と比較し、減少した車両を1年間に抹消された車両とみなして、国内で新規(新車)登録されてから抹消登録するまでの平均年数を算出している。
ただし、減少台数には一時抹消(注1)も含まれるため、自動車が完全にスクラップされるまでの期間とは若干異なる。
算出には、1年間での保有台数の減少台数(注2)を経過年係数(注3)で加重平均した。

(注1)一時抹消:自動車が運行の用に供するのを止める際の手続きであり、再び復活(中古車新規登録)するケースがある。
(注2)減少台数:最新の年度は、平成29年度の新車新規登録台数から平成30年3月末の保有台数を引いた台数である。
(注3)経過年係数:初度登録年度を基点とした平成30年3月末までの経過年数。

※1 自動車検査登録情報協会「わが国の自動車保有動向」車種別の平均使用年数推移表[ONLINE]https://www.airia.or.jp/publish/file/r5c6pv000000m20m-att/r5c6pv000000m211.pdf(2018.10.31参照)

人間の平均寿命に相当する平均車齢は、国内でナンバープレートを付けている自動車が新規(新車)登録されてからの平均経過年数です。
suii-1981-2018

自動車検査登録情報協会「わが国の自動車保有動向」車種別の平均使用年数推移表[ONLINE]https://www.airia.or.jp/publish/file/r5c6pv000000m20m-att/r5c6pv000000m211.pdf(2018.10.31参照)のデータをグラフ化






2 実際の自動車の寿命

(1)最新自動車の寿命は不明

自動車の平均使用年数は、その該当年度に製造された自動車の寿命を表すものではありません。
初度登録年度ごとに1年前の保有台数と比較」「経過年係数で加重平均」する算出方法から、公表された乗用車の「13.24年」は、主に約13年前の平成17年前後に製造された乗用車の寿命を表すと考えられます。

したがって、最新技術で製造された今年度の自動車の寿命は、乗用車13.24年、貨物車14.72年、乗合車17.69年よりさらに伸びると考えられます。

(2)抹消登録するユーザーの判断の状況

自動車を廃車するユーザーの実際の場合を考えます。

  • ア 自動車が、壊れて動かなくなった
  • イ 自動車に継続して乗り続けるには、故障のリスクが大きく、修理代が高額になることが明確に予想できる
  • ウ 「自動車の買取評価額や入れ替え費用」と今後増加する「燃料代・整備費・税金など維持費」などとの比較で、現所有自動車への出費が許容できなくなる

などが想定されます。

  • アの場合は、まさに廃車であり、スクラップされる自動車の機械的な寿命です。
  • イの場合は、まだ使用できるが、かなりの確率で故障が予想される場合です。
    状況によっては、該当の自動車は、廃車せず使用することがあります。
  • ウの場合は、まだ健在の状態です。
    自動車メーカーの部品の供給やその価格、ディーラー(整備)や整備専業者の工賃、ユーザーの経済状況等との関わりで、ユーザーがバランスを考えて廃車か否かの判断をするものです。このことは、自動車メーカー等がどこまでサポートするかによって決まるとも言えます。
15年同じ車に乗っています。フィードホースに亀裂が入っているのがわかりました。私の車種は現在作られておらず、ホースが適合する車種も無いとの事。私用に1つだけ作成する事も不可だそうです。修理を行うディーラーさん曰く、廃車の中から同型の車を見つけそこから貰ってつけるしかないとの事でした。何度聞いてもこの方法しか無いと言います。未だ見つかっていません。漠然とした質問ですが何かいい案は無いでしょうか?
YOMIURI ONLINE発言小町「車の部品が廃盤なので修理できないと言われました」2014年6月16日[ONLINE]http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2014/0616/663944.htm(2018.11.2参照)

このように、自動車の抹消登録は、いくつかの場合が想定され、即、自動車の機械的な寿命を表すものとは必ずしも言えません

したがって、実際の自動車の機械的な寿命は、乗用車13.24年、貨物車14.72年、乗合車17.69年よりさらに長いと考えられます。






3 新車の寿命を予測する線形予測

(1)線形近似曲線

自動車の平均使用年数の経年変化のデータをもとに、線形近似曲線を用いて、将来の平均使用年数を予測します。
yosoku

自動車検査登録情報協会「わが国の自動車保有動向」車種別の平均使用年数推移表[ONLINE]https://www.airia.or.jp/publish/file/r5c6pv000000m20m-att/r5c6pv000000m211.pdf(2018.10.31参照)のデータをグラフ化

線形近似曲線の式 R²値 10年後の予測(年)
乗用車 y = 0.127x + 8.0002 0.9098 13.97
貨物車 y = 0.1753x + 7.3482 0.9515 15.59
乗合車 y = 0.2161x + 9.4991 0.9558 19.66

10年後の予測は、下記の式に、x=1:1981年、x=37:2018年x=47:2028年として、xの値に47を代入して求めています。

  • 乗用車:y = 0.127x + 8.0002
  • 貨物車:y = 0.1753x + 7.3482
  • 乗合車:y = 0.2161x + 9.4991

線形近似曲線は、点(平均使用年数の経年変化の値)の並びに、できるだけ当てはまるようにひいた直線です。

線形近似曲線は、Microsoft Excel を使って、求められます。折れ線グラフを作成後、オプションで「近似曲線」及び「式の表示」を選択すれば、表示されます。

R²値は、線形近似曲線の式が、どれくらい信頼できるかを表す数値です。
R²値のとり得る範囲は、(信頼性が低い) 0 ≦ R² ≦ 1 (信頼性が高い)です。

(乗用車R²値) 0.9098 < (乗合車R²値) 0.9558 なので、乗合車の式の方が乗用車の式より信頼性が高いと言えます。
すなわち、式から求めた予測される年数は、乗合車の方がより正確である可能性が高いということです。

線形近似曲線の式を用いると、10年後2028年の平均使用年数は、乗用車13.97年、貨物車15.59年、乗合車19.66年と、予測できます。

(2)2018年式新車の寿命の予測

最後に、今年度の新車の寿命を予測してみましょう。

先に述べたように、平成30年3月末時点の乗用車の平均使用年数は「13.24年」約13年です。2018年新車の13年経過後は2031年です。
そこで、x=50:2031年として、xの値に50を代入すると

  • 乗用車:y = 0.127×50 + 8.0002 = 14.3502 ≒14.35

したがって、2018年式の新車乗用車の平均使用年数予測は、14.35年となります。本年度新車乗用車の寿命は、14年強と予測できます。

まとめ

  1. 自動車の平均車齢は人間の平均年齢に相当し、また、自動車の平均使用年数は人間の平均寿命に相当する
  2. 自動車の寿命としては、平成30年3月末時点で、乗用車は13.24年、貨物車は14.72年、乗合車17.69年である
  3. 抹消登録台数が一様にスクラップにした台数を意味するものでないことから、実際の自動車の機械的な寿命は、それよりさらに長いと考えられる
  4. 10年後2028年の平均使用年数は、乗用車13.97年、貨物車15.59年、乗合車19.66年と、予測できる