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【数Ⅰ:基本】鋭角三角形における正弦\(\sin\)・余弦\(\cos\)・正接\(\tan\)の意味と三角関数表の使い方

【数Ⅰ:基本】鋭角三角形における正弦\(\sin\)・余弦\(\cos\)・正接\(\tan\)の意味と三角関数表の使い方

直角三角形の2つの辺の長さの比の値が、三角比です。
ここでは、鋭角三角形における正弦(sin)・余弦(cos)・正接(tan)の基本について確かめていきます。

1. 三角比の意味

1) 準備

三角比では、角の大きさと辺の長さを対象とする。長さや角度は、単位を決めて大きさを数値化したもの、すなわち、測定したものである。三角比が、数(値)を対象とすることを明確にするため、ここでは以下の記号を使うこととする。

記号の付け方
\(△ABC\)において、\(\angle{A},\angle{B},\angle{C}\) の大きさを、\(\alpha,\beta,\gamma\)、対辺の長さを、\(a,b,c\) と表す。

\(\angle{A},\angle{B},\angle{C}\) :図形としての角
\(\alpha,\beta,\gamma\):角の大きさ(測定した数値)
\(a,b,c\) :辺の長さ(測定した数値)

比の値 三角比の定義の説明で比の値を使うことから、その意味を振り返る。

比の値

\(a\) と \(b\) の長さの比が \(3:5\) のとき、\(\dfrac{3}{5}\) を \(3:5\) の比の値という。
\(a:b\) の比の値は、\(a\div b = \dfrac{a}{b}\) で求められる。

2) 三角比とは

三角比とは、直角三角形の2つの辺の長さの比の値のことである。

\(\angle{C}\) が直角の直角三角形 \(ABC\) において、
直角\(\angle{C}\) の対辺を斜辺という。
\(\angle{A}\) に着目するとき、点 \(A\) と直角を結ぶ辺 \(AC\) を、底辺という。辺 \(BC\) を、頂点 \(A\),\(\angle{A}\) の対辺という。

 次の辺の比の値を、 \(\angle{A}\) の正弦、余弦、正接という。それらをまとめて三角比という。

直角三角形の辺の名前、長さ、角度

\[\begin{align}\sin α &=\dfrac{対辺}{斜辺}=\dfrac{BC}{AB}=\dfrac{a}{c}\\
\cos α &=\dfrac{底辺}{斜辺}=\dfrac{AC}{AB}=\dfrac{b}{c}\\
\tan α &=\dfrac{対辺}{底辺}=\dfrac{BC}{AC}=\dfrac{a}{b}\end{align}\]

 

三角関数との違い
三角比は「直角三角形の辺の長さの比」を表す。
三角関数は、それを「すべての実数(あらゆる角度)に拡張して、変数に対する関数として扱えるようにしたもの」である。

ここでは、三角比について考えることとする。

2. 三角関数表の使い方

三角関数表(または三角比の表)

0度から 90度(または \(0\) から \(\dfrac{\pi }{2}\) ラジアン)まで、さまざまな角度に対する「サイン(\(\sin\))」「コサイン(\(\cos\))」「タンジェント(\(\tan\))」の値をあらかじめ計算してまとめた一覧表のことである。
表の数値を基に長さを計算して求めるなどして活用する。今では、コンピューターで瞬時に計算できるようになっている。

実際に、三角比を使って辺の長さを計算する場合は、三角関数表から、該当する三角比の値を利用して計算する。

例えば、角の大きさが \(\angle{A}:\alpha=30°\) する。この場合、 \(\angle{B}:\beta=60°\) となる。
この三角形は、正三角形の一辺を垂直二等分線で分けてできる、合同な2つの直角三角形のうち1つである。

このときの辺の比は、
\[AB:BC:AC=c:a:b=2:1:\sqrt{3}\]
したがって、\[sin 30°=\dfrac{1}{2}=0.5\]

この \(0.5\) 三角比の値は、左の表の「角の大きさ(°)」の「\(30\)」の行の「\(\sin θ\)」の列の値と一致する。

このように、三角関数表は、あらかじめ、三角比を計算で求め、一覧表としているものだ。
実際長さを求める場合に利用することとなる。

この値は、エクセルの数式で求めることができる。

/ABCDE
1角の大きさ(°)弧度法(rad:ラジアン)sinθcosθtanθ
210.0174532930.0174524060.9998476950.017455065
32=RADIANS(A3)=SIN(B3)=COS(B3)=TAN(B3)


ただし、三角関数は、弧度法で表すラジアンという単位の値を指定する必要がある。

 扇型 \(OAB\) を考える。
中心角 \(θ\) は円弧の長さ \(l\) に比例する.円弧の長さ \(l\) と扇型の半径 \(r\) の比をとると,同じ角度  \(θ\) に対して扇型の大きさにかかわらずこの比は一定である。
この性質を利用して角度の大きさを定めたのが弧度法で \(θ=\dfrac{l}{r}\) とする。
単位はラジアン(\(rad\))で,通常単位名のラジアンは省略する。
この弧度法に対して,45°,60°と表現する方法を度数法という。
\[\begin{align}45°&=\dfrac{\pi}{4}\\60°
&=\dfrac{\pi}{3}\\
90°&=\dfrac{\pi}{2}\\
180°&=\pi\\
360°&=2\pi\end{align}\]

 

3. 実際の長さの計算

例題 長さ 10m のはしごがある。このはしごを、地面との角度が60°となるよう壁にかけたとき、何mの高さまで届くか。三角関数表を使って求めよ。

1) 三角関数表を使った計算

ハシゴは、直角三角形の斜辺にあたる。建物の壁が対辺にあたり、この高さが分からない。
今分かっているのは、ハシゴの長さ10m、ハシゴと地面のなす角が60°。

この二つがあれば、高さを求めることができる。図形の相似の性質を使って計算する必要がない。これが三角関数のよさの一つである。

三角関数表から、\(sin 60°=0.866025\) である。

これは、\(sin\) の場合、斜辺の長さを 1 としたとき、対辺の長さは、その \(0.866025\) 倍という意味である。
当然、ハシゴの長さより短くなる。

ここで大切なことは、\(sin\) の場合、
斜辺の長さの \(0.866025\) が対辺の長さ(壁の高さ)
という意味である。
したがって、ハシゴ \(10m\) に \(0.866025\) をかければ、地面に対して垂直な高さが求められる。

ここで、\[\begin{align}sin α &=\dfrac{対辺}{斜辺}\\
&=\dfrac{BC}{AB}\\
&=\dfrac{a}{c}\end{align}\]であった。
\(\dfrac{a}{c}\) は、\(c=1\) のときの \(a\) の割合、\(a\) は、\(c\) の何倍かを表している。単位はない。

\[\begin{align}\text{壁の高さ:}a&=10\times \sin 60°\\
&=10\times 0.866025\\
&\approx 8.7(m)\end{align}\]

2) 三角関数表を使わない計算

三角関数表を使わなくても、よく知られている角の大きさなら計算できる。

\[\begin{align}\text{壁の高さ:}a&=10\times \sin 60°\\
&=10\times\dfrac{\sqrt{3}}{2}\\
&=10\times\dfrac{1.7320508}{2}\\
&=10\times0.8660254\\
&\approx 8.7(m)\end{align}\]

計算上は、約 \(8.7m\) の高さまでハシゴをかけられる。

3) 生活への活用

しかし、問題場面の 60 度はリスクのあるかけ方だ。
家庭用ハシゴは、地面に対して約75度の角度で立てかけるのが最も安全とされる。
ハシゴを寝かせた角度で使用すると、足元がすべる、ハシゴがたわんで折れる、ハシゴの上部がずれて外れる、上りにくくなるからである。

そこで、\(\sin 75°\) で、三角関数表の数値を使って計算すると、

\[\begin{align}\text{壁の高さ:}a&=10\times \sin 75°\\
&=10\times 0.965926\\
&\approx 9.66(m)\end{align}\]
この場合、9m66cm位まで届くことになる。

しかし、屋根や床などの上り口に対しては、ハシゴの上部を60cm以上突き出した状態で設置することが推奨されている。
このことを考えると、約9mまでならハシゴをかけられるということになる。

ハシゴは、地面に対して約75度の角度で立てかけ、上部を60cm以上突き出した状態で設置するとしたとき、9mまでならかけられる

4) 新たな問題

ハシゴは、地面に対して約75度の角度で立てかけると、安全であることは分かった。しかし、分度器があるわけではない。どうすれば75度になるのだろうか。ここで数学的に表現した問題、数学化し、三角比を活用して問題を解決する。

例題派生問題 \(10m\) のハシゴを、地面に対して 75度の角度で立てかけ、上部を \(1m\) 突き出した状態で設置したい。
ハシゴの足元の接地面は、壁から何\(m\) の地点に設置するとよいか。

角度と斜辺のハシゴの長さが分かって、底辺の地面の長さを求めることから、三角比の \(\cos\) を使う。ハシゴの長さは、突き出す長さを引いて計算する。

\[\begin{align}10-1&=9\\\text{壁からの距離:}c&=9\times\cos75°\\&=9\times 0.258819\\&=2.329371\\
&\approx 2.33(m)\end{align}\]\[\begin{align}\text{壁の高さ:}a&=9\times \sin 75°\\
&=9\times 0.965926\\
&=8.693334\\
&\approx 8.69(m)\end{align}\]

壁から、\(2m33cm\) の地点にハシゴの足元を設置すればよい。
そのときの壁の高さは、\(8.69m\)

 

4. まとめ 三角比を、基にする辺の長さの割合から見る

上記の例題で、\(\sin\) の場合、斜辺の長さの \(0.866025\) 倍が対辺の長さ(壁の高さ)である。ハシゴ \(10m\) に \(0.866025\) をかければ、地面に対して垂直な高さが求められる、と解説した。

鋭角三角形における正弦 \(\sin\)・余 \(\cos\)・正接 \(\tan\) の3つについて、基にする辺の長さの割合から見ると次のようになる。

直角三角形

\[\begin{align}\sin α &=\dfrac{対辺}{斜辺}=\dfrac{BC}{AB}=\dfrac{a}{c}\\
\cos α &=\dfrac{底辺}{斜辺}=\dfrac{AC}{AB}=\dfrac{b}{c}\\
\tan α &=\dfrac{対辺}{底辺}=\dfrac{BC}{AC}=\dfrac{a}{b}\end{align}\]

 

\(△ABC\) が\(\angle{C}=\angle{R}\) の直角三角形のとき、\(\angle{A}:α=30°\) から見て、三角比は次のようになる。

  • \(\sin α\) は、斜辺 \(AB:c=1\) のとき、対辺 \(BC\) の長さが、斜辺の何倍かを表している。
    \[\sin 30°=\dfrac{1}{2}=0.5 \text{・・・・・・・・・斜辺}c\times 0.5=a:\text{対辺}BC \]
  • \(\cos α\) は、斜辺 \(AB:c=1\) のとき、底辺 \(AC\) の長さが、斜辺の何倍かを表している。
    \[\cos 30°=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\approx 0.87 \text{・・・・・・・・・斜辺}c\times 0.87=b:\text{底辺}AC \]
  • \(\tan α\) は、底辺 \(AC:b=1\) のとき、対辺 \(BC\) の長さが、底辺の何倍かを表している。
    \[\tan 30°=\dfrac{1}{\sqrt{3}}\approx 0.58 \text{・・・・・・・・・底辺}b\times 0.58=a:\text{対辺}BC \]

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