弧度法と単位円における座標の表示として一般角の三角関数について解説します。
弧度(ラジアン)は、点\(O\) を中心、半径 \(1\) の円周上の2点 \(A,B\) に対する中心角 \(\angle{AOB}\) の大きさの単位、弧 \(AB\) の長さ \(θ\) で表します。例えば、\(\pi\text{ラジアン} = 180°\) となります。
また、原点 \(O\) を中心、半径 \(1\) の円を単位円において、角 \(θ\) の動径と単位円との交点を \(P\) とすると、単位円上の点 \(P\) の座標は\[P(\cosθ,\sinθ)\]で表せます。\(\tanθ\) については、動径 \(OP\) の傾きとして現れます。
以下、これらについて解説します。
1. 弧度法
1) 定義
扇型 \(OAB\) において、中心角 \(θ\) は円弧 \(\overset{\frown}{AB}\) の長さ \(l\) に比例する。
円弧 \(\overset{\frown}{AB}\) の長さ \(l\) と扇型 \(OAB\) の半径 \(r\) の比をとると,同じ角度 \(θ\) に対して扇型の大きさにかかわらずこの比は一定である。
この性質を利用して角度の大きさを定めたのが弧度法で \(θ=\dfrac{l}{r}\) とする。
一般に、円周の長さ=直径 × \(\pi\)。すなわち、\(2\pi r\) である。この半径を \(r=1\) とすると、円周の長さは、\(2\pi\) となり、半径に依存せず表記できる。 したがって、単位円を前提にすると、\[θ=\dfrac{l}{r}=\dfrac{l}{1}=l\]とできる。

弧度(ラジアン)
度数法(°)に代わる、弧の長さを用いた合理的な角度の表し方である。
定義: 半径 \(1\) の円において、長さが \(1\) の弧に対する中心角の大きさを \(1\) ラジアン(弧度)と定める。
変換原理: 半径 \(1\) の円(単位円)の全周は \(2\pi\) であり、これが \(360^{\circ }\) に対応する。
\[\pi \text{\ ラジアン}=180^{\circ }\]
主要な角の対応:
\[90^\circ = \dfrac{\pi}{2},60^\circ = \dfrac{\pi}{3},45^\circ = \dfrac{\pi}{4},30^\circ = \dfrac{\pi}{6}\]
2) 大きさの例
\[45°=\dfrac{\pi}{4},60°=\dfrac{\pi}{3},90°=\dfrac{\pi}{2},180°=\pi,360°=2\pi,720°=4\pi,-540°=-3\pi\]




2. 一般角の三角関数
1) 定義
座標平面上で、角の概念を \(0^\circ \sim 180^\circ\) から、負の向きや \(360^{\circ }\) 以上の回転(一般角)へと拡張する。
原点 \(O\) を中心とする半径 \(1\) の単位円において、始線(\(x\) 軸の正の部分)から角 \(\theta \) だけ回転した動径と、単位円との交点を \(P(x, y)\) とするとき、三角関数を次のように定義する。

\[\cos \theta =x\quad (\text{交点 }P\text{ の}x\text{ 座標})\]
\[\sin \theta =y\quad (\text{交点 }P\text{ の}y\text{ 座標})\]
\[\tan \theta =\dfrac{y}{x}\quad (\text{動径 }OP\text{ の傾き}\quad \text{ただし\ }x\ne 0)\]
定義域と値域:
・\(\sin\theta, \cos\theta\) はすべての実数 \(\theta \) で定義され、値域は \[-1 \leqq \sin\theta \leqq 1,-1 \leqq \cos\theta \leqq 1\] である。
・\(\tan\theta\) は、動径が \(y\) 軸上にくるとき(\(x=0\) となる \(\theta = \dfrac{\pi}{2} + n\pi\)、 \(n\) は整数)は定義されない。値域は実数全体である。
2) 単位円上の座標

原点 \(O\) を中心、半径 \(1\) の円を単位円という。
角 \(θ\) の動径と単位円との交点を \(P\) とすると、単位円上の点 \(P\) の座標は\[P(\cosθ,\sinθ)\]
3) 三角関数の相互関係
三角関数の定義(単位円上の座標および直線の傾き)から、以下の3つの基本公式が自然に導かれます。これらはすべての定義域内の \(\theta \) で常に成り立つ。
\[\tan \theta =\dfrac{\sin \theta }{\cos \theta }\]
(※動径の傾き \(\dfrac{y}{x}\) は、\(\dfrac{y\text{\ 座標}}{x\text{\ 座標}}\) であることから自明)
\[\sin ^{2}\theta +\cos ^{2}\theta =1\]
(※単位円上の点 \(P(x,y)\) が円の方程式 \(x^2 + y^2 = 1\) を満たすことから自明)
\[1+\tan ^{2}\theta =\dfrac{1}{\cos ^{2}\theta }\]
(※公式2の両辺を \(\cos^2\theta\) で割ることで導出可能)
4) 単位円による \(\tan\theta\) の幾何学的視覚化
\(\tan\theta\) の値は、単位円上の動径の傾きとして表されるが、直線 \(x=1\) を補助線として引くことで「座標」として直接視覚化できる。
角 \(\theta \) を表す直線 \(OP\) と、直線 \(x=1\) との交点を \(T\) とすると、点 \(T\) の座標は \((1, \tan\theta)\) となる。すなわち、交点 \(T\) の \(y\) 座標そのものが \(\tan\theta\) の値である。
このことから、動径 \(OP\) が \(y\) 軸と一致するとき、動径 \(OP\) は直線 \(x=1\)と平行になるので、交点を \(P’\) は存在しない。
したがって、このとき、\(\tanθ\) は定義されない。