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次期学習指導要領における、道徳教育の改善の方向性

 次期学習指導要領道において、徳科教育は、どのように改善されるのでしょうか。

 次期学習指導要領における道徳教育は、「主体的・対話的で深い学び」を教室で確実に実装(Excellence)し、「多様性の包摂(Equity)」と学校現場での「実現可能性(Feasibility)」を両立する方向で抜本的に改善されます。

 具体的な改善の最優先事項は、資質・能力の三つの柱(①道徳的諸価値の理解、②多面的・多角的な思考・判断・表現、③自己の生き方への深い意識・態度)に沿った目標・内容の「構造化・表形式化」の導入です。
 これにより、従来の読み物教材の登場人物に対する「心情理解」に終始していた予定調和的な授業から脱却します。児童生徒が自らの判断で考え、議論するプロセスを保障し、生成AIの普及等の技術革新や不登校の増加といった現代的な課題に主体的に向き合う道徳性を養います。さらに、教員の評価負担を軽減し、指導と評価の一体化を真に実現する枠組みへと進化します。

1 改善の概要

 令和7年9月の「教育課程企画特別部会における論点整理について(報告)」および最新の教育課程部会・道徳ワーキンググループの審議を踏まえ、次期学習指導要領における道徳教育の改善概要は以下の通りです。

1. 資質・能力の三つの柱による「目標・内容の構造化・表形式化」
 現行の「内容項目」ごとの平面的な記述を改め、他教科と同様に「道徳的諸価値についての概念的理解(知識)」「多面的・多角的に考え、自己の生き方について深める資質・能力(思考・判断・表現)」「よりよく生きるための道徳的実践への向かう力(学びに向かう力・人間性)」の三つの柱に沿って、目標と内容を「表形式」で構造化します。これにより指導者は「どの価値について、どのような思考プロセスをたどらせるか」を明確に設計できるようになります。

2. 「心情理解」偏重の授業からの脱却と「考え、議論する道徳」の本質化
 現場で常態化している、教科書教材の「登場人物の気持ちの読み取り」に終始する授業や、最後に「これからは~したいです」という形式的な感想に誘導する予定調和的な指導を完全に是正します。道徳的諸価値の正確な概念理解を土台としつつ、児童生徒が自らの人生の「舵取り」をするための葛藤や多面的な対話を取り入れ、実践的な判断力を育成します。

3. 現代的課題(情報モラル・生成AI・多様性包摂)への確実な対応
 GIGAスクール構想による1人1台端末環境の日常化を踏まえ、デジタル学習基盤を前提とした道徳性を育みます。特に、ChatGPT等の生成AIを用いた課題作成における誠実さや責任のあり方、SNS上の誹謗中傷トラブルを防ぐための公正・公平の精神、不登校傾向の児童生徒や外国にルーツを持つ子供の増加といった教室の実態に寄り添い、同調圧力を排して多様性を包摂する共生社会の担い手を育む視点を大幅に強化します。

4. 校種間の系統的な接続とカリキュラム・マネジメントの強化
 小学校・中学校における「特別の教科 道徳」での学びを基盤とし、高等学校における「教育活動全体を通じて行う道徳教育」(「公共」「倫理」等の関連教科、総合的な探究の時間、特別活動)との接続を円滑にします。発達の段階に応じた道徳的思索の深まりを一貫して支援する体制を構築します。

5. 評価の形骸化防止と教員の負担軽減(実現可能性の確保)
 観点別評価になじまないとされてきた道徳科において、記述式評価の文面作成が教員の過度な負担になっている現状を改善します。三つの柱の構造化に連動した分かりやすい評価の視点を提示し、児童生徒の道徳的成長を肯定的に捉える見取りの具体例(ルーブリックなど)を整備することで、現場の負担を減らしつつ指導と評価の一体化を促します。

2 改善のポイント

 文部科学省の中央教育審議会・教育課程部会において、次期学習指導要領(2026年度内告示、2030年度以降順次実施予定)に向けた「道徳ワーキンググループ(WG)」での審議が精力的に行われています。

 現行の「特別の教科 道徳」(道徳科)の設置によって「考える道徳」「議論する道徳」への転換が定着したことを踏まえ、次期改訂では、「道徳教育・道徳科の目標(根幹)は現行を維持する」という方針が確認されています。
 その上で、現場における「登場人物の心情理解に偏った予定調和的な授業」「毎時間の評価(見取り)の教員負担」といった課題を乗り越えるため、「目標・内容の表形式化・構造化」、生成AIの急速な普及等に対応する「情報モラルのアップデート(現代的課題への対応)」、および「記述式評価の適正化・簡素化」が最大の改善ポイントとして審議されています。

 当道徳WGの最新の配付資料、議事録、および審議動向に基づき、小・中・高等学校における道徳科(道徳教育)の具体的な改善ポイントを現行との対比して解説します。

次期学習指導要領における道徳教育の改善ポイント対照表

校種改善の視点現行学習指導要領の課題・内容次期学習指導要領の改善方向(最新WG審議反映)
小・中1. 目標・内容の「表形式」による構造化4つの視点(自分自身、他者、集団・社会、生命等)ごとに、A~Dの「内容項目」が平面的に羅列されているため、授業で「どの資質・能力を育てるべきか」という指導の焦点が曖昧になりがちであった。資質・能力の「三つの柱」に基づき、指導目標と内容を「表形式」で構造化。各時間で「どの道徳的価値の理解を深め、どのような思考プロセスを辿らせるか」を可視化し、指導のブレを無くす。
小・中2. 道徳的諸価値の「概念的理解」の定義道徳における「知識」の定義が曖昧であり、徳目の言葉(例:「親切」「規則の尊重」)の表面的な意味の暗記や、行動規範の押し付け・教え込みになってしまう懸念が根強く残っていた。「道徳的諸価値についての概念的な理解」を知識の側面に位置付ける。単なる言葉の暗記ではなく、「なぜそれが大切なのか」「他者や社会とどう関わるのか」という価値の本質を理解させる。
小・中3. 読み物教材の「心情理解」からの脱却教科書の長い物語や伝記を最初から最後まで順番に読み進め、登場人物の「その時の気持ち」を推し量るだけの、国語の「心情読解」と区別がつかないルーティン授業が常態化していた。教材読解の時間を最小限に抑え、物事を多面的・多角的に捉える「思考プロセス」そのものを重視。教材の枠を超えて「自分ならどうするか」を主体的に考え抜く時間を授業の核心に据える。
小・中4. 対話・議論の質の向上(正解主義の打破)「答えが一つではない課題」を扱いながらも、実際は形式的なペアワークや、教師の想定する「正しい道徳的発言」を児童生徒が察して発表するような、予定調和的な授業に陥っていた。葛藤を伴う具体的な生活事例や二項対立のジレンマを扱い、自己の生き方に引き寄せて深く「考え、議論する道徳」を徹底。クラス内の異なる意見をぶつけ合い、納得解を導くプロセスを保障。
小・中5. デジタル・AI時代の倫理と情報モラル情報モラルが「ネット依存防止」や「著作権保護」など限定的な扱いに留まり、学校現場に急速に普及する「生成AI」の付き合い方や、最新のSNS上の人間関係のトラブルに対応しきれなかった。1人1台端末環境(デジタル学習基盤)を大前提とし、生成AIの回答を鵜呑みにしない「誠実さ・責任」や、オンライン空間での他者尊重、デジタルシティズンシップ教育を道徳科の中に明示。
小・中6. 多様性の包摂(Equityの実現)従来の「みんな仲良く」「きまりを守る」といった画一的な規範意識の強調が強すぎ、教室内の多様な背景(外国籍の児童生徒、発達の特性、不登校傾向の子供など)への配慮や包摂が不十分だった。同調圧力を排除。多様な価値観や背景を持つ他者を尊重し、排除することなく、公正・公平に共生社会を築く人間性を育成。集団に合わせるだけでなく「個の在り方」を認める視点を強化。
小・中7. 教育活動全体(領域間)の役割連携道徳科で学んだことと、学校行事、児童会・生徒会活動、総合的な学習の時間における実際の「体験」や「協働」との連動が弱く、道徳の時間が独立した座学として孤立していた。教育活動全体における道徳教育の役割を再整理。道徳科を「思索を深める場」と位置づけ、特別活動や総合的な学習の時間を「実践・協働の場」として往還させるカリキュラムを明確化。
小・中8. 評価の簡素化と教員の余白創出観点別評価ではなく「個人内評価(記述式)」であるため、児童生徒全員の成長の様子を文章で書き起こす作業が教員の過度な事務負担となり、形骸化や所見文の使い回しが課題となっていた。評価の視点を「三つの柱の構造化案」に連動させて明確かつ簡素に整理。教員が評価に追われる現状を改善し、児童生徒の変容を肯定的に見取るための簡潔な指標(ルーブリック等)を例示。
小・中9. 地域社会・実社会とのリアルな接続教科書に掲載されている架空のストーリーや、過去の偉人のエピソードが多く、子供たちが日常的に暮らしている地域のリアルな課題や、現代社会の諸問題との結びつきが実感が湧きにくかった。コミュニティ・スクール等の地域人材やPTA、地元の専門家と連携。地域で実際に起きている課題(防災、環境、福祉など)を道徳的課題として授業に扱い、当事者意識を高める。
中・高10. 校種間の系統的な接続の確保中学校では「特別の教科」として独立して評価も行われるが、高等学校へ進学した途端に「教育活動全体を通じて行う」という旧来の形式に戻るため、指導の熱量や指導体制に断絶があった。中学校の道徳科で培った「多面的・多角的な思考力」を基盤に、高等学校の新科目「公共」や「倫理」、探究学習における「自己の在り方・生き方」の思索へと滑らかに接続する系統性を確立。
高校11. 主権者教育・持続可能な社会との連動高校段階の道徳教育において、個人の内省や内面の美徳の育成に偏る傾向があり、主権者として「社会をどのように変革・創造していくか」という公民的・政治的教養との結びつきが弱かった。自己の在り方・生き方の思索を、単なる「個人の生き方」に閉じず、持続可能で民主的な社会の創り手(主権者)としての責任感や、社会正義の実現に参画する態度へと昇華させる。
全校種12. 柔軟な時間設定(実現可能性)毎週必ず1コマ(年間35コマ)を一律・画一的に実施しなければならないという運用の硬直性があり、校外学習や長期的なプロジェクト型の探究活動との柔軟な一体化が難しかった。新設される「調整授業時数制度」や単元未満の柔軟な時数配分を活用可能にする。例えば、体験活動の前後に道徳科を集中配置するなど、学校の実態に応じた柔軟な時間編成を容認する。

3 現行の課題と改善内容

(1) 全教科共通の改善ポイント

1. 「主体的に学習に取り組む態度」の数値評価(評定)からの完全除外
 現行の観点別学習評価において最も現場の負担となり、客観性の担保が難しかった「主体的に学習に取り組む態度」のA・B・Cによる目標準拠評価(数値評価)を、すべての教科・科目において廃止し、評定の積算対象から除外します。
 これにより、点数のための「見せかけの態度」を追う評価から脱却します。
 今後は、児童生徒が自らの学びを調整する姿を「見取る姿(仮称)」として整理し、通知表には所見欄や記号(〇や✓など)で記述的に付記する方向へと役割を再定義し、教員の評価業務負担を劇的に軽減します。

2. 評価の二大観点化(数値評価の重点化)への移行
 上記の評価改革に伴い、今後の通知表や指導要録における数値的な観点別評価は、「知識・技能」および「思考・判断・表現」の2観点へと重点化されます。
 これにより、学力として客観的に計測・評価できる側面に数値評定を集中させ、生徒や保護者に対しても「何が身に付き、どこで思考が深まったか」をより明確かつ納得感のある形でフィードバックできる体制を全教科等で確立します。

3. 生成AI・SNS時代に対応する情報活用能力(メディアリテラシー)の全教科展開
 生成AIの急速な普及やデジタル社会の深化を受け、情報活用能力を「あらゆる学習の基盤」としてすべての教科で育成します。
 単に端末を「使う」段階から、提示された情報やAIが出力したテキストの「信憑性や発信者の意図を批判的に読み解く力(ファクトチェック*2) ・クリティカルシンキング*3))」へと指導を高度化します。
 また、著作権、情報モラル、データの適切な扱いを、各教科の学習活動(理科の実験データ処理、社会のレポート作成など)に確実に組み込みます。

*1) 「ファクトチェック」… 政治家の発言やニュース、SNS上の情報が「事実(ファクト)に基づいているか」を客観的な証拠から調査し、その結果と検証プロセスを公表する営み。
*2)「クリティカル・シンキング」… 情報を鵜呑みにせず、その前提や根拠が妥当であるかを「多面的・多角的に検討する」力のこと。単なる批判や揚げ足取りではなく、より客観的で納得感のある結論を導くための建設的な思考プロセスを指す。

4. カリキュラムの構造化(目標・資質能力の明確な「可視化」)
 これまでの指導要領で示されてきた「資質・能力の三つの柱」を、学校現場がより扱いやすく実質化できるよう、目標の構造化を図ります。各教科において、学習の目的や場面に応じた「機能カテゴリ」や「資質・能力の段階的な見通し」を明瞭に提示します。
 これにより、教師が「何のためにこの単元を教えるのか」を見失うことなく、単元同士や他教科とのつながりを意識した、見通しの良い教育課程(カリキュラムマネジメント)の編成を全教科で可能にします。

5. デジタル学習基盤(タイピング等)の早期定着と指導の系統化
 GIGAスクール構想による1人1台端末を、すべての教科の授業で空気のように使いこなすため、デジタル入出力のスキルを全教科の基盤として位置付けます。
 特に小学校低学年等のスタートアップ期における「キーボード入力(タイピング)」や「音声入力」の指導手順を全教科の共通基盤として体系化し、「手書きによる身体的な習得」と「ICTによる効率的な表現」のバランスを取りながら、どの教科の授業でも端末を思考の道具としてスムーズに活用できるようにします。

6. 対話の質の向上と「協働的な合意形成・課題解決」の重視
 アクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)の形骸化を防ぐため、すべての教科における「話し合い活動」の質を向上させます。単なる感想の交流や同調的なグループワークにとどまらず、「異なる意見を整理し、客観的根拠をもとに調整して、新たな最適解を導く対話(合意形成のプロセス)」を重視します。
 各教科の特質に応じた対話の方法(数学的な説明、道徳的な価値の議論など)をステップバイステップで指導します。

7. 探究的な学習プロセスの標準化と他教科への転換
 「総合的な学習(探究)の時間」で培う探究のプロセス(課題の設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現)を、すべての教科の日常的な授業に標準的に組み込みます。
 単なる知識の暗記に終始せず、「問い」から始まる授業デザインへと全教科でシフトし、国語科で培った論理的思考や説明力をベースに、理科、社会、算数・数学等において、自ら仮説を検証しレポートにまとめる力を共通して育成します。

8. 幼児期から小学校、中学校から高校への「接続期(スタートアップ)」のカリキュラム強化
 校種間の移行期における学習の段差(いわゆる中1ギャップや小1プロブレム)を解消するため、全教科で接続期の指導を強化します。
 小学校低学年における「幼児期の豊かな経験をスムーズに各教科の学びに繋げるスタートアップカリキュラム」の構築や、高等学校における多様な生徒の進路に応じた「柔軟な教科・科目の選択配置」など、一貫した資質・能力の育成を見据えて教育課程の連続性を担保します。

(2) 道徳の改善ポイント

 次期学習指導要領における道徳教育の改善のポイントについて、現行の課題を詳細に分析した上で、一般の指導者が明日からの授業実践に落とし込めるよう具体的に解説します。

課題の背景:「心情理解のルーティン」と「予定調和の結末」からの完全脱却
 現行の小学校・中学校の道徳教育現場における最大の課題は、教科書に掲載された物語の登場人物の気持ちを推し量る「心情理解の授業」のルーティン化です。文部科学省の道徳ワーキンググループの審議資料でも指摘されている通り、「文章が長すぎて心情の整理だけで授業時間の大部分が終わる」「指導書の解説通りに発問した結果、最後に『これからはルールを守って親切にしたいです』という、子供たちが教師の顔色を伺った予定調和な感想を書いて終わる」といった形骸化が深刻です。児童生徒が「本当に自分の問題」として葛藤し、深く思索する時間が確保されていません。

ポイント1:資質・能力の「三つの柱」への表形式化による指導目標の可視化
 この課題を根本から解決するため、次期指導要領では、道徳の内容を他教科と同様に「三つの柱」で表形式に構造化します。第一に「道徳的諸価値についての概念的な理解(知識)」、第二に「多面的・多角的に考え、自己の生き方について深める資質・能力(思考・判断・表現)」、第三に「よりよく生きるための道徳的実践への向かう力(学びに向かう力・人間性)」です。これにより指導者は、単に教科書を読ませるのではなく、「今日はどの価値の概念を理解させ、どのような思考プロセス(比較、分類、多角的検証など)を辿らせるのか」を明確に意識した授業設計が可能になります。

ポイント2:デジタル学習基盤を前提とした現代的課題(生成AI・ネット社会)の組み込み
 GIGAスクール構想によって1人1台端末が日常化した教室環境に基づき、デジタル社会を生き抜くためのリアルな道徳性を育みます。例えば、単に「ネットの使いすぎに注意しよう」という従来の情報モラルに留まらず、ChatGPTをはじめとする「生成AIが出した回答を、自分で考えずにそのまま自分の意見として提出してよいか」という誠実さや責任のあり方、SNS上での匿名の誹謗中傷を防ぐための公正・公平の精神など、現代社会の生々しい題材を道徳科の中に明示的に組み込み、生きて働く道徳性を養います。

ポイント3:学校の「正解主義」の排除と多様性の包摂(Equity)
 現在の小・中学校では、不登校児童生徒の増加や、外国にルーツを持つ子供の増加など、教室の多様化が急速に進んでいます。これまでの道徳教育にありがちだった「みんなと同じ行動をすることが正しい」「きまりは絶対に一律で適用される」という同調圧力や正解主義を徹底的に排除します。中央教育審議会の「論点整理」が掲げる「多様性の包摂」に則り、異なる価値観や背景を持つ他者と対話し、葛藤を乗り越えながら、誰もが生きやすい共生社会を築く「民主的で持続可能な社会の創り手」としての資質を養います。

ポイント4:小・中・高を通じた系統的接続と「自己の在り方・生き方」の深化
 義務教育段階(小学校・中学校)の道徳科で培った「多面的・多角的な道徳的思考力」を、高等学校における教育活動全体での道徳教育へと確実に繋ぎます。特に高校の新科目「公共」や「倫理」、あるいは「総合的な探究の時間」における自己のキャリア形成や主権者教育へと滑らかに発展させ、全校種を通じて一貫した人間性の育成を目指します。

4 今後の取組

 次期学習指導要領の全面実施(小学校:2030年度、中学校:2031年度、高等学校:2032年度から年次進行)に向けて、各学校および教育委員会が取り組むべき具体的な方向性と留意点を総括します。

 今後の具体的な取組の第一歩は、教員自身の「授業観のアップデート」です。教科書の読み物教材を「最初から最後まで順番に読む」という固定観念を捨て、道徳的諸価値の概念理解や思考プロセスを軸にした授業設計へとシフトする必要があります。教育委員会や教育センターは、新設される「三つの柱の構造化シート」を活用した具体的な指導案作成や、ワークショップ型の研修を早急に開発すべきです。

 また、現場の「実現可能性(Feasibility)」を担保するためのカリキュラム・マネジメントが不可欠です。「調整授業時数制度」等を視野に入れ、道徳科の授業と学校行事(修学旅行や職場体験活動)や地域連携活動を効果的に連動させ、単元全体で道徳性を育む柔軟な教育課程を編成します。評価についても、通知表の所見記述が教員の過度な負担とならないよう、構造化された視点に基づく簡素で実効性のある評価基準(見取りのルーブリックなど)を早期に校内で共通理解しておくことが求められます。

出典:教育課程部会 道徳ワーキンググループ[ONLINE]https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/117/index.html(cf.20260518)

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