直角三角形の2つの辺の長さの比の値が、三角比です。
ここでは、鋭角三角形における正弦(sin)・余弦(cos)・正接(tan)の基本について確かめていきます。
三角比とは
\(△ABC\)において、\(\angle{A},\angle{B},\angle{C}\) の大きさを、\(\alpha,\beta,\gamma\)、対辺の長さを、\(a,b,c\) と表すこととする。
三角比とは、直角三角形の2つの辺の長さの比の値のことをいう。
- 比の値
-
酢とサラダ油の量の比が \(30:50\) のとき、\(\dfrac{3}{5}\) を \(30:50\) の比の値という。
\(a:b\) の比の値は、\(a\div b = \dfrac{a}{b}\) で求められる。
\(\angle{C}\) が直角の直角三角形 \(ABC\) において、
直角\(\angle{C}\) の対辺を斜辺という。
\(\angle{A}\) に着目するとき、点 \(A\) と直角を結ぶ辺 \(AC\) を、底辺という。辺 \(BC\) を、頂点 \(A\),\(\angle{A}\) の対辺という。
次の辺の比の値を、 \(\angle{A}\) の正弦、余弦、正接という。それらをまとめて三角比という。
\[\begin{align}sin α &=\dfrac{対辺}{斜辺}=\dfrac{BC}{AB}=\dfrac{a}{c}\\
cos α &=\dfrac{底辺}{斜辺}=\dfrac{AC}{AB}=\dfrac{b}{c}\\
tan α &=\dfrac{対辺}{底辺}=\dfrac{BC}{AC}=\dfrac{a}{b}\end{align}\]
三角関数表
実際に、三角比を使って辺の長さを計算する場合は、三角関数表から、該当する三角比の値を利用して計算する。
例えば、角の大きさが \(\angle{A}:\alpha=30°\) する。この場合、 \(\angle{B}:\beta=60°\) となる。
この三角形は、正三角形の一辺を垂直二等分線で分けてできる、合同な2つの直角三角形のうち1つである。
このときの辺の比は、
\[AB:BC:AC=c:a:b=2:1:\sqrt{3}\]
したがって、\[sin 30°=\dfrac{1}{2}=0.5\]
この 0.5 三角比の値は、左の表の「角の大きさ(°)」の「30」の行の「\(sin θ\)」の列の値と一致する。
このように、三角関数表は、あらかじめ、三角比を計算で求め、一覧表としているものだ。
実際長さを求める場合に利用することとなる。
この値は、エクセルの数式で求めることができる。
| / | A | B | C | D | E |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 角の大きさ(°) | 弧度法(rad:ラジアン) | sinθ | cosθ | tanθ |
| 2 | 1 | 0.017453293 | 0.017452406 | 0.999847695 | 0.017455065 |
| 3 | 2 | =RADIANS(A3) | =SIN(B3) | =COS(B3) | =TAN(B3) |
ただし、三角関数は、弧度法で表すラジアンという単位の値を指定する必要がある。
扇型OABを考える。
中心角 \(θ\)は円弧の長さ \(l\) に比例する.円弧の長さ \(l\) と扇型の半径 \(r\) の比をとると,同じ角度 \(θ\) に対して扇型の大きさにかかわらずこの比は一定である。
この性質を利用して角度の大きさを定めたのが弧度法で
\[θ=\dfrac{l}{r}\]
とする。
単位はラジアン(rad)で,通常単位名のラジアンは省略する。
この弧度法に対して,45°,60°と表現する方法を度数法という。
実際の長さの計算
例題 長さ 10m のはしごがある。このはしごを、地面との角度が60°となるよう壁にかけたとき、何mの高さまで届くか。三角関数表を使って求めよ。
ハシゴは、直角三角形の斜辺にあたる。建物の壁が対辺にあたり、この高さが分からない。
今分かっているのは、ハシゴの長さ10m、ハシゴと地面のなす角が60°。
この二つがあれば、高さを求めることができる。図形の相似の性質を使って計算する必要がない。これが三角関数のよさの一つである。
三角関数表から、\(sin 60°=0.866025\) である。これは、対辺の長さを 1 としたとき、斜辺の長さは、その \(0.866025\) 倍という意味である。当然、ハシゴの長さより短くなる。
\[\begin{align}\text{壁の高さ:}a&=10\times sin 60°\\
&=10\times 0.866025\\
&\approx 8.7(m)\end{align}\]
三角関数表を使わなくても、よく知られている角の大きさなら計算できる。
\[\begin{align}\text{壁の高さ:}a&=10\times sin 60°\\
&=10\times\dfrac{\sqrt{3}}{2}\\
&=10\times\dfrac{1.7320508}{2}\\
&=10\times0.8660254\\
&\approx 8.7(m)\end{align}\]
問題場面の60度はリスクのあるかけ方だ。家庭用はしごは、地面に対して約75度の角度で立てかけるのが最も安全とされる。
\[\begin{align}\text{壁の高さ:}a&=10\times sin 60°\\
&=10\times 0.965926\\
&\approx 9.7(m)\end{align}\]
この場合、9m65cm位まで届くことになる。
しかし、屋根や床などの上り口に対しては、ハシゴの上部を60cm以上突き出した状態で設置することが推奨されている。
このことを考えると、約9mまでならハシゴをかけられるということになる。