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求められる資質・能力とは(3)情報技術活用、問題解決・価値の創造

これからの社会で生きていくためには,どのような資質・能力が必要なのでしょうか。
それは,以下の三つです。
  • 情報を読み解く力,
  • 情報技術を活用して論理的・創造的に問題解決・価値創造する力
  • 感性を働かせながら,よりよい社会や人生の在り方について考え,学んだことを生かそうとする態度

その一つの「情報技術を活用して問題を解決し,価値を創造する力」によって,コンピュータの働きが分かり,うまく使えるようになると,よりよい問題解決に生かせるようになります。

情報技術を活用し,論理的・創造的に考え問題解決する資質・能力を身に付けるには,学校教育による意図的計画的なプログラミング教育が必要です。






1 特に重要となる資質・能力

情報化が進展する社会では,次の資質・能力が,特に重要になると協力者会議の答申は報告しています。
  1. 情報を読み解く
  2. 情報技術を手段として使いこなしながら,論理的・創造的に思考して課題を発見・解決し,新たな価値を創造する
  3. 感性を働かせながら,よりよい社会や人生の在り方について考え,学んだことを生かそうとする
本稿では,二つ目の「情報技術を手段として使いこなしながら,論理的・創造的に思考して課題を発見・解決し,新たな価値を創造する」力について考えます。

2 情報技術を手段とし,論理的・創造的に課題を発見・解決し,新たな価値を創造する

これからの時代を生きていく子供たちには,ますます身近となる情報技術を効果的に活用しながら,複雑な文脈の中から読み解いた情報を基に論理的・創造的に考え,解決すべき課題や解決の方向性を自ら見いだし,多様な他者と協働して新たな価値を創造していくための力が求められる。
「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」より

3 情報技術を活用し論理的・創造的に考え問題解決する資質・能力のイメージ

この資質・能力は,コンピュータの働きが分かって,それをうまく使い,よりよい問題解決に生かせるようになることと言えるでしょう。

そのイメージを,ある小学生の生活場面,学習場面を考えます。

◯ 気付き

Aさんは小学5年生です。

自宅の近くは,交通量が比較的多い地域です。

Aさんは,南北方向の道路沿いを毎日登校していました。

あるとき,見慣れた様子を見ながら,「トラック,よく見るなあ」と思いました。

そのことを学校で先生に話しました。

先生「なるほど。その道路はトラックが,多く通るのかな。」

Aさんは,本当に多いのか自信がありません。

Aさん「うーん,通るのをよく見かけます。」

◯ 問題を確かめる調べ活動

そこで,本当かどうか調べることにしました。

毎日夕方,祖父母の家へ通っているので,南北方向の道路ですれ違うトラックの台数を指折り数えます。

◯ 条件をそろえて情報集め

出発時刻は,いつも4時半頃。

祖父母の家には,15分位で着きます。

トラックの台数を数えようとすると,困ったことに,トラックは大きさが色々です。

迷いましたが,宅急便のトラックぐらいより大きいトラックを数えることにしました。

Aさんが,5日間毎日続けて,15分間に通るトラックの台数を調べた結果は,以下のようでした。

月曜日 8台,火曜日 3台,水曜日 2台,木曜日 0台,金曜日 5台

◯ 表計算の並び替え機能の活用

Aさんは,パソコンが得意です。

表計算ソフトは,並び替えができることを,学習して知っていました。

説明しやすい資料とするため,さっそく,入力しました。

そして,結果から,月曜日と金曜日が多いことをまとめました。

でも,疑問が残りました。

1カ所で5日間調べても,この道路を通るトラックが多いことを説明できたことにはなりません。

◯ 論理的な考え方の活用

Aさんは,授業で「多いか少ないかは,比べると分かる。」と学んだことを思い出しました。

「この道路はトラックが多い。」を説明するには,

「他の道路を通るトラックの台数を調べて比べれるといい。」

他の道路の台数と比較すれば,南北の道路の台数の多い,少ないを説明できます。

ただし,比較には条件を揃える必要があります。

AとBの鉛筆の長さを比べてAの方が長いと説明するのに,端を揃えて,他方の端の点の位置で説明するようなものです。

◯ 条件をそろえた情報の比較

そこで,違う道路で調べて,その結果と比べる必要があります。

条件として,調べる時間を15分間と揃えます。

条件を揃えれば,カウントは機械的に行います。

条件に合う大型トラックが通れば,カウントを1増やす。

小型トラックであれば,カウントしない。

初期値は,もちろんゼロからです。

次の5日間は,東西方向の道路を調べました。

祖父母の家まで歩いて行くコースを変えて,東西方向の通過するトラックの台数を調べました。

月曜日 2台,火曜日 2台,水曜日 0台,木曜日 0台,金曜日 1台

数値を見て結果は分かりましたが,説明資料を作るため表計算ソフトに入力します。

調べた数値は,機械的に並べて比較します。

◯ 表計算ソフトの効果的な活用方法の実感

「やっぱり,南北の道路の方がトラックが多く通っている。」

翌日,調べた結果を先生に話しました。

「よく調べました。確かに多い。先生も調べて写真を撮りましたよ。」

先生は写真を見せながら,

「このトラックは,何をどこに運んでいるのだろう。」

「この道路は,どこにつながっているんだろう。」

◯ 発展的な見方・考え方

 

グーグルマップを使って,道路の先を先生と確かめました。

インターネットの地図で調べると,拡大縮小が容易で情報も多く,道路のつながりや土地利用の様子が分かりやすい。

南北の道路の先には,たくさんの工場がありました。

東西は,主に住宅地と商店街です。

東西の方向は小型トラックがよく通っていました。

南北の道路は,大型トラックが中心,東西の道路は小型トラックが中心です。

「道路は,町づくりと関係しているんだ。」

南北の道路は,産業道路です。

製品や原材料を工場地帯へ運べるよう広い規格の道路として市が計画的に設置したものでした。

◯ 地図と現実をつなぎ新たな気付き

休日,Aさんは家族とその工場地帯へ行きました。

そこには,大きな工場が並んでいました。

ある工場では,直径が2mもあるタイヤを作っていることも知りました。

工場の先は海です。大きな港がありました。

そこから,製品を船で運んでいるのです。

◯ 市民意識の高まり

Aさんは,町の見方が変わりました。

そして,自分の住む町が好きになり町に住む誇りを感じてきました。


4 意図的計画的な情報技術を活用し問題解決する資質・能力の育成

このような調べようとする意欲や調べ方,まとめ方,問題解決のための論理的な考え方,態度などの育成のためには,意図的,計画的な教育が必要です。

情報教育とあわせて,プログラミング教育は,それに答える一つの注目すべき教育内容です。






1 これからの時代に求められる資質・能力の1つに,情報技術を活用して問題解決・価値創造する力があります。

2 コンピュータの働きが分かってうまく使えるようになると,よりよい問題解決に生かせるようになります。

3 情報技術を活用し論理的・創造的に考え問題解決する資質・能力を身に付けるには,意図的計画的なプログラミング教育が必要です。

小学校段階における論理的思考力や創造性,問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」平成28年6月16日, [online]http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/122/attach/1372525.htm(参照2017-3-1)

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