1つの二元一次方程式だけでは、解を1つの組み合わせに特定することはできません。しかし、「買った文房具の合計数が7点である」というような、もう1つの独立した条件(方程式)が加わったらどうなるでしょうか。
本記事では、2つの方程式を組み合わせて解をただ1組に特定する「連立方程式」の概念と、表を作らずに計算だけで効率的に文字を消去する2大技法「加減法」および「代入法」の手順を詳しく解説します。
第2節 連立二元一次方程式とその解き方
1. 連立方程式の必要性と意味
第1節では、1つの二元一次方程式だけでは、解が1組に定まらないことを学びました。
ここでは、数量の関係を表す条件が、もう1つ加わった場合について考えます。
場面
1冊 \(120\) 円のノート数冊と、1本 \(80\) 円のボールペン数本を買い、代金の合計をちょうど \(600\) 円にします。
このとき、買った文房具の合計数を \(7\) 点とすると、それぞれ何冊、何本買ったことになるでしょう。
買ったノートの冊数を \(x\) 冊、ボールペンの本数を \(y\) 本とすると、代金の関係は、次の等式、二元一次方程式で表されます。
\[120x+80y=600\quad \dots\dots\text{①}\]
さらに、「合計数が \(7\)点」という新たな条件から、次の二元一次方程式が成り立ちます。
\[x+y=7\quad \dots\dots\text{②}\]
これら ①、② の式に同時にあてはまる \(x,y\) の値の組を求めるために、それぞれの二元一次方程式の解(ただし \(x,y\) は \(0\) 以上の整数)を表にして比較します。
① \(120x+80y=600\) の解の組
| \(x\) (冊) | \(1\) | \(3\) | \(5\) |
|---|---|---|---|
| \(y\) (本) | \(6\) | \(3\) | \(0\) |
② \(x+y=7\) の解の組
| \(x\) (冊) | \(0\) | \(1\) | \(2\) | \(3\) | \(4\) | \(5\) | \(6\) | \(7\) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| \(y\) (本) | \(7\) | \(6\) | \(5\) | \(4\) | \(3\) | \(2\) | \(1\) | \(0\) |
2つの表を比較すると、 \(x=1,y=6\) の組は、①と② の両方の方程式に、同時にあてはることが分かります。
このように、2つ以上の方程式を組み合わせたものを 連立方程式 (れんりつほうていしき)といいます。
また、それらの方程式のいずれにもあてはまる文字の値の組を、連立方程式の 解 といい、その解を求めることを 連立方程式を解く といいます。
連立二元一次方程式の解は、特別な場合を除き、ただ1組だけ定まる特性をもっています。
2. 加減法による解き方
連立方程式を解く際、毎回、表を作って共通の解を探す方法は、能率よくありません。
連立方程式を計算で解く方法を考えましょう。
1つの文字を含む方程式の解き方は、学習しました。だから、連立方程式を、1つの文字を含む方程式に変形することができれば、その連立方程式を解くことができます。
連立方程式を解く方法として、2つの文字のうち1つの文字を消去し、既に解き方を知っている「一元一次方程式」に直して解く方法があります。
2つの式を左辺どうし、右辺どうしを、たすかひくかして、1つり文字を消去する方法を 加減法 (かげんほう)といいます。
💡 例題1 (加減法)
次の連立方程式を解きなさい。
\[\begin{array}{rrcr}\begin{cases}2x+3y&=&13\quad \text{\ ①}\\ 2x-\phantom{3}y&=&\phantom{1}1\quad \text{\ ②}\end{cases}\end{array}\]
【解き方】
等式には、(①の左辺 - ②の左辺)は(①の右辺 - ②の右辺)と等しい、という性質があります。
式を見ると、①②の左辺の文字 \(x\) の係数( \(2\) )が一致しています。
このことから、①と②の連立方程式では、①から②をひくと、\(2x\) を消すことができます。
\[\begin{array}{rrcr}2x+3y&=&13&\text{\ ①}\\ -)\quad 2x-\phantom{3}y&=&1&\text{\ ②}\\ \hline 4y&=&12&\end{array}\]
左辺どうし右辺どうしをそれぞれひき算すると、 \(x\) を消去できます。
これにより、 \(y\) に関する一元一次方程式 \[4y=12\] が得られます。
これを解くと、次のようになります。
\[y=3\]
求めた \(y=3\) を②の式に代入します(①の式に代入してもよい)。
\[\begin{aligned}2x-3&=1\\ 2x&=4\\ x&=2\end{aligned}\]
よって、この連立方程式の解は次のようになります。
\[(x,y)=(2,3)\]
💡 例題2 (加減法)
次の連立方程式を解きなさい。
\[\begin{cases}\phantom{3}x+2y=7\quad \text{\ ①}\\ 3x-4y=1\quad \text{\ ②}\end{cases}\]
【解き方】
①と②の式では、文字 \(x,y\) ともに係数の絶対値がそろっていません。
このような場合は、等式の性質を用いて、両辺に同じ数をかけ、係数またはその絶対値をそろえてから消去します。
ここでは、①の両辺を \(2\) 倍すると、②の文字 \(y\) の係数の絶対値 \(4\) にそろえられます。
\[\begin{array}{rrrl}2x+4y&=&14&\dots\text{①}\times 2\\ +)\quad 3x-4y&=&1&\dots\text{②}&\text{\ }\\ \hline 5x\phantom{+4y}&=&15&\end{array}\]
\(y\) の係数の符号がプラスとマイナスで異なるため、2つの式をたすと \(y\) が消去できます。
一元一次方程式 \(5x=15\) を解くと、次のようになります。
\[x=3\]
\(x=3\) を①に代入します。
\[\begin{aligned}3+2y&=7\\ 2y&=4\\ y&=2\end{aligned}\]
よって、この連立方程式の解は次のようになります。
\[(x,y)=(3,2)\]
これらの方程式の解き方は、加減法による解き方です。
2つの式を左辺どうし、右辺どうしを、たすかひくかして、1つり文字を消去する方法です。
3. 代入法による解き方
連立方程式を計算で解くとき、1つの文字を消去するのに、別の方法があります。
それは、一方の式を、もう一方の式に変形して組み込んで(代入して)、1つの文字を消去する方法です。
これを 代入法 (だいにゅうほう)といいます。
1つの文字について式が整理されている場合、整理しやすい場合に、有効な手法です。
💡 例題3 (代入法)
次の連立方程式を解きなさい。
\[\begin{cases}y=2x-1\quad\quad \dots\text{①}\\ 3x+2y=12\quad \dots\text{②}\end{cases}\]
【解き方】
①の式は「 \(y\) は \(2x-1\) と等しい」という関係を示しています。
したがって、②の式の \(y\) の部分に、①の右辺である \((2x-1)\) を代入することができます。
②に①を代入すると、次のようになります。
\[\begin{align}3x+2y&=12\quad \dots\text{②}\\\\y\text{ に代入}&\text{↓}\\\\3x+2(2x-1)&=12\end{align}\]
括弧を展開して整理すると、\(y\) を消去した \(x\) に関する一元一次方程式となります。
\[\begin{aligned}3x+4x-2&=12\\ 7x&=14\\ x&=2\end{aligned}\]
求めた \(x=2\) を①に代入します。
\[\begin{aligned}y&=2x-1\quad \dots\text{①}\\\\y&=2\times 2-1\\ y&=3\end{aligned}\]
よって、この方程式の解は次のようになります。
\[(x,y)=(2,3)\]
🔎 確かめ問題
【問1】
次の連立方程式を加減法で解きなさい。
\((1)\text{ }\begin{cases}3x+y=9\\ \phantom{3}x-y=3\end{cases}\)
\((2)\text{ }\begin{cases}2x+3y=8\\ 4x-\phantom{3}y=2\end{cases}\)
【問2】
次の連立方程式を代入法で解きなさい。
\[\begin{cases}x=y+2\\ 2x+3y=14\end{cases}\]