第1章 文字式の計算とその活用
導入:カレンダーに隠された「秘密のきまり」
みなさんは、毎日の生活で何気なく見ている「カレンダー」に、おもしろい算数・数学の秘密が隠されていることを知っていますか。
次のカレンダーを見て、ある「きまり」を探してみましょう。
💡 クエスト:9つの数字を囲んでみよう
左のカレンダーの中から、縦 3マス、横 3マスの正方形(合計 9つの数字)をどこでもいいので四角く囲んでみてください。
【例えば……】
\(8, 9, 10, 15, 16, 17, 22, 23, 24\) の9つを囲んだとします。
ここで、囲んだ9つの数字をすべてたし算してみましょう。
$$8 + 9 + 10 + 15 + 16 + 17 + 22 + 23 + 24 = \text{?}$$
計算すると、答えは \(144\) になります。
💬 みんなで話してみよう
では、今度は別の場所で、同じように 3×3 の 9つの数字を囲んで、合計を計算してみてください。
・別の場所で計算した合計は、いくつになりましたか。
\[99\]
・合計した数と、「真ん中にある数字」をよーく見比べてみてください。何か気づくことはありませんか。
\[99\text{ は、}11\text{ の }9\text{倍}\]
👤 拓也さん:「あれ? さっきの例だと、真ん中の数字は \(16\) だよね。合計の \(144\) と \(16\) って、何か関係があるのかな……?」
👤 桜さん:「あ! \(16 \times 9 = 144\) だわ! もしかして、他の場所で囲んでも、合計はいつも真ん中の数字の 9倍になるんじゃない?」
🧐 考えてみよう:本当に「いつでも」成り立つ?
桜さんの発見した通り、カレンダーのどこを囲んでも、9つの数字の合計は必ず「真ん中の数字の9倍」になります。
でも、本当に「どこの月」の「どこの場所」を囲んでも、絶対にそうなるのでしょうか。
「たまたまこのカレンダーの、この場所だけじゃないの。」と聞かれたとき、私たちはどうすれば「絶対にいつでも成り立つ。」と証明できるでしょうか。
1年生のとき、私たちは \(x\) などの1つの文字を使って、数量の表し方を学びました。
しかし、今回のカレンダーのように、9つも数字が並んでいる複雑な関係は、1つの文字だけでどう表せばよいでしょうか。
この章では、もっとたくさんの文字や式を自由自在に操る計算方法(単項式や多項式)を学びます。その新しい数学の武器を使って、このカレンダーの秘密をだれもが納得できるようにスッキリと説明してみましょう。